更新日: 2019.08.20 厚生年金

在職老齢年金で減額? 年金が減額されない方法

執筆者 : 北山茂治

在職老齢年金で減額? 年金が減額されない方法
60歳で定年しても、まだまだ働くという人はたくさんいます。最近では、ほとんどの会社で60歳定年後再雇用となり、1年更新で65歳まで働ける環境が整ってきています。
 
60歳以降に給料の減ることは多いのですが、雇用保険から高年齢雇用継続給付でお金が出ますし、63歳か64歳で特別支給の厚生年金がもらえるようになると嬉しいですよね。
 
しかし、特別支給の厚生年金は、働いていることによって減額されてしまう場合があり、とても残念な気分になります。この減額される仕組みが、在職老齢年金という制度なのです。
 

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北山茂治

執筆者:北山茂治(きたやま しげはる)

高度年金・将来設計コンサルタント

1級ファイナンシャルプランニング技能士、特定社会保険労務士、健康マスターエキスパート
大学卒業後、大手生命保険会社に入社し、全国各地を転々としてきました。2000年に1級ファイナンシャルプランニング技能士資格取得後は、FP知識を活用した営業手法を教育指導してきました。そして勤続40年を区切りに、「北山FP社会保険労務士事務所」を開業しました。

人生100年時代に、「気力・体力・財力3拍子揃った、元気シニアをたくさん輩出する」
そのお手伝いをすることが私のライフワークです。
ライフプランセミナーをはじめ年金・医療・介護そして相続に関するセミナー講師をしてきました。
そして元気シニア輩出のためにはその基盤となる企業が元気であることが何より大切だと考え、従業員がはつらつと働ける会社を作っていくために、労働関係の相談、就業規則や賃金退職金制度の構築、助成金の申請など、企業がますます繁栄するお手伝いをさせていただいています。

HP: https://www.kitayamafpsr.com

在職老齢年金とは

60歳を過ぎて働いている方が厚生年金をもらうようになると、給料やボーナスの額に応じて年金の一部または全部が支給停止となります。この仕組みを「在職老齢年金」と言います。
 
1ヶ月の収入(総報酬月額相当額と基本年金月額)が一定の額(基準額)を超えるかどうかです。総報酬月額相当額とは、給料と「1年間のボーナスの1/12」を合算した額です。基本年金月額とは、年金額の1/12です。基準額とは、65歳前は28万円、65歳以上は47万円です。(※)
 

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例えば

63歳、給料(総報酬月額相当額)が23万円で、基本年金月額(厚生年金の1/12)が12万5000円の方の場合(ボーナスは支給されないと仮定)
 
12万5000円-{(23万円+12万5000円)-28万円}×1/2=8万7500円
8万7500円が在職老齢年金として受け取れます。つまり、3万7500円が支給停止されるということです。
 
では、ボーナスが6月と12月にそれぞれ60万円支給されたらどうなるでしょうか。
 
ボーナスの1ヶ月分は、(60万円+60万円)×1/12=10万円
12万5000円-{(23万円+12万5000円+10万円)-28万円}×1/2=3万7500円
 
3万7500円が在職老齢年金として受け取れます。つまり、8万7500円が支給停止されるということです。
 
がんばって働けば働くほど、もらえるはずの厚生年金がもらえなくなるという、残念な結果になります。しかも、この支給停止された厚生年金は、単純になくなるのであって、後から返ってくることはありません。
 

給料が減額されない方法

では、給料をもらいながら、厚生年金も満額もらう方法はないのでしょうか。社会保険料(厚生年金の保険料を含む)が給与から引かれない勤務形態で、会社に勤めればいいのです。下記の条件に該当しなければ、被保険者にはなりません。つまり、厚生年金を満額もらいながら働けるのです。
 
「被保険者の対象になるか否かの判断は、同じ事業所で同様の業務に従事する一般社員の所定労働時間および所定労働日数を基準に判断することとなります。
 
≪判断基準≫
次の(ア)及び(イ)が一般社員の4分の3以上である場合は、被保険者になります。
(ア)労働時間:1週の所定労働時間が一般社員の4分の3以上
(イ)労働日数:1月の所定労働日数が一般社員の4分の3以上

 
(例)一般社員の1週の所定労働時間が40時間で、1月の所定労働日数が20日の場合
・1週の所定労働時間40時間×3/4以上=30時間以上
・1月の所定労働日数20日×3/4以上=15日以上
 
1週30時間以上及び1月の所定労働日数が15日以上業務に従事する従業員は、被保険者となります。
 
また、一般社員の所定労働時間および所定労働日数が4分の3未満であっても、下記の5要件を全て満たす方は、被保険者になります。
・週の所定労働時間が20時間以上あること
・雇用期間が1年以上見込まれること
・賃金の月額が8.8万円以上であること
・学生でないこと
・常時501人以上の企業(特定適用事業所)に勤めていること」

(日本年金機構ホームページより)
 

究極の方法

上記の方法では、たしかに厚生年金は満額もらえますが、収入が限定されてしまいます。しっかり働いても、厚生年金を満額もらう方法はないのかと考えている方にお勧めなのが、自営業やフリーランスとして働くことです。
 
士業やコンサルタントとして開業するなど、自営業者やフリーランスとして働けば、厚生年金の保険料を引かれることはなく、まして60歳を超えての開業では国民年金の保険料も支払う必要はありません。
 
いくら儲けたとしても、厚生年金は在職老齢年金で減額されることなく、満額もらえます。
 
さらに、国民年金の任意加入被保険者となって、国民年金の保険料を支払えば、国民年金額を満額に近づけることができます。(多くの方が20歳から就職するまでの間、国民年金の保険料を支払っていません。その場合、満額となる480月に達していないことになります。通常65歳までは、480月になるよう国民年金の保険料を払うことができます。)
 
※この時「付加保険料」を一緒に払うと、さらにお得!
 

留意すること

個人の自営業者なら問題ありませんが、法人化すると社長であっても社会保険料を支払うことになり、在職老齢年金の対象となる可能性が高いので、注意が必要です。
 
出典
※厚生労働省「平成 31 年度の年金額改定についてお知らせします ~年金額は昨年度から 0.1%のプラス改定です~」
 
執筆者:北山茂治(きたやま しげはる)
高度年金・将来設計コンサルタント