更新日: 2020.04.06 国民年金
2019年4月から国民年金保険料が出産で免除になるって本当?
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
1982年生まれ。株式会社よこはまライフプランニング代表取締役。
資格学校勤務時代には教材編集等の制作業務や学習相談業務に従事し、個人開業の社会保険労務士・FPとしては公的年金に関する研修講師を務め、また、公的年金の相談業務も経験してきている。
これらの経験を活かして、専門誌で年金に関する執筆を行っている。2018年に、年金やライフプランに関する相談・提案、教育研修、制作、調査研究の各事業を行うための株式会社よこはまライフプランニングを設立、横浜を中心に首都圏で活動中。日本年金学会会員、日本FP学会準会員。
自営業者などの産前産後期間中の保険料も免除に
出産した場合の、産前産後期間中の年金保険料の納付・負担義務は国民年金の被保険者の種類によって異なります。
会社員等第2号被保険者の場合、産前産後期間中は厚生年金保険料の免除制度があり、また、第2号被保険者の被扶養配偶者である第3号被保険者は元々保険料の負担がありません。
一方、第2号被保険者と第3号被保険者以外の人、つまり自営業者など第1号被保険者には、これまで産前産後期間中であることによる国民年金保険料の免除制度はなく、納付義務がありました。
しかし、2019年4月より、第1号被保険者の産前産後期間中の国民年金保険料(2019年度は月額16,410円)が免除されることになります。
具体的に保険料が免除される期間は、出産日または出産予定日の前月から4か月間(多胎妊娠の場合は、出産日または出産予定日の3か月前から6か月間)になります(【図表1】)。これにより、保険料の負担が軽減されることになるでしょう。
2019年4月に施行のため、2019年4月以降の月が免除の対象期間となります。つまり、2019年2月以降に出産した人が対象となり、【図表2】のように2019年2月に出産した人であれば、同年4月分が免除の対象となるでしょう。
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産前産後の免除を受けていても保険料を納付した扱いに
この産前産後に保険料免除を受けた期間は、老齢基礎年金の計算においては保険料を納付した期間(保険料納付済期間)として扱われ、産前産後期間の4か月分65,640円(2019年度の場合。16,410円×4月)の免除を受けても、その4か月分は保険料納付済期間として将来の老齢基礎年金が計算されます。
40年分(480月分)保険料納付済期間がある場合の満額の老齢基礎年金が780,100円(2019年度年額)で、1月の納付当たり約1,625円(780,100円×1月/480月)になりますが、産前産後の4か月間も約6,500円(780,100円×4月/480月)として反映されることになります。
従来の保険料免除制度との違い
従来からある保険料免除制度(法定免除、申請全額免除など)による免除を受けた場合は、当該期間は保険料免除期間として扱われ、納付済期間より少ない額でしか年金額に反映されませんので、その点が産前産後の免除と大きく異なります。
制度改正により、産前産後期間が納付済期間となるため、既に国民年金保険料を複数月分前倒しで納付(前納)していた人は、そのうちの産前産後期間中の保険料の還付を受けることもできます。
また、従来の保険料免除制度と異なり、産前産後に免除された月については、付加保険料(月額:400円)を納付することや国民年金基金の加入員となることもできます。
本体の国民年金保険料は免除されるのに、これら第1号被保険者のための上乗せの年金制度への加入はできることになります。一方、海外在住の日本人など国民年金に加入義務がない人で、任意に加入している人はこの産前産後による免除は受けられません。
産前産後期間の免除についての手続きは、出産予定日の6か月前(ただし、2019年4月以降)から可能となっていますので、該当する人は市区町村役場に届出を行いましょう。
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー