更新日: 2019.06.28 その他年金
もはや自助努力が不可欠?未婚より離別の方が厳しい年金生活
そこで将来の収入額を考えるうえで、現在すでに年金を受け取っている配偶者がいない人の収入状況を男女別に確認してみました。
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/
死別男性の収入は未婚や離別より多い
厚生労働省年金制度基礎調査では、日本年金機構が支給する老齢年金の受給者を対象に年金や生活に関する調査をしており、その中で配偶者がいない(未婚・死別・離別)年金受給者の収入状況についても調査しています。まずは男性から公的年金を含む収入額の分布と公的年金額の分布を表にしてみました。
表に記載の10年短縮該当者とは、法改正で受給資格期間が25年から10年へ短縮したことにより、新たに国民年金の受給権を有することになった者のことをいいます。
配偶者のいない男性年金受給者の収入額は、180~240万円未満(月額15~20万円未満)が一番多く、次が120~180万円(月額10~15万円未満)となっています。配偶者のいない理由別にみると、死別の収入額が未婚や離別より多い傾向にあります。
例えば、240~300万円未満では、未婚10.9%離別10.2%に対し死別は19.5%で倍近い割合になっています。300~360万円未満や360万円以上でも、死別の割合がともに最も高くなっています。
公的年金に限った収入をみると、死別は180万円以上の全てで未婚や離別より割合が高く、180万円未満の全てで未婚や離別より割合が低くなっています。収入額全体で死別が未婚や離別より比較的多いのは、この公的年金額の差によるところが大きいと考えられます。
10年短縮該当者の年金額が少ないのは、もともとの受給資格期間25年に満たなかったからで、36万円未満(月額3万円未満)の受給者が39.2%にもなり、ほとんどは84万円未満(月額7万円未満)となっています。
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離別女性の15%は公的年金が月3万円未満
配偶者のいない女性年金受給者の収入についても表にしてみました。男性とは少し違う傾向がみられます。
未婚や死別・離別によって配偶者のいない女性の年金受給者では、収入額が120~180万円未満の割合が24.1%で最も高く、次に180~240万円未満の22.3%となっています。理由別に分布状況をみると、離別だけ全体的に低い傾向にあります。
収入額が少ない方の120万円未満では、36~60万円未満を除いて全て最も割合が高く、収入額が比較的多い方の120~300万円未満では全て最も割合が低くなっています。300万円以上でも最も多く分布しているとは言えません。
公的年金額だけの収入でみると、離別の低さがより顕著に表れています。例えば、年金額が多い方の180~240万円未満をみると、未婚14.0%死別24.8%に対し離別の割合は3.8%しかありません。240~300万円未満でも未婚8.4%死別7.6%に対し離別の割合は1.0%で非常に低いです。
一方で、年金額が少ない方の36万円未満では、未婚6.9%死別2.4%に対し離別の割合は15.0%にもなります。年金を36万円(月額3万円)も受け取れないのは非常に厳しいと言えます。
10年短縮該当者も公的年金はかなり少なく、公的年金だけだと60.1%が36万円未満、他の収入を入れても37.6%が36万円未満となっています。
配偶者のいない人に限ったことではないですが、将来厚生年金や国民年金だけで生活していける人は少数派で、多くの人は自助努力で準備していくことも必要です。離別や死別で予定通りにいかないこともあるでしょうから、年金受給者の現状を参考にしながら余裕をもって準備していきましょう。
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者