更新日: 2024.09.24 国民年金

もうすぐ60歳ですが、友人から「年金は任意加入で4万円増える」と言われました。年金はどれくらい増えますか? 60歳以降も年金に加入できるのでしょうか?

もうすぐ60歳ですが、友人から「年金は任意加入で4万円増える」と言われました。年金はどれくらい増えますか? 60歳以降も年金に加入できるのでしょうか?
年金は老後を支える大切な収入源です。年金受給額を少しでも増やしたいと思う人は多いでしょう。
 
老齢基礎年金は原則65歳から受給できますが、学生時代等に未納期間がある場合などは、満額受給とはなりません。しかし、「任意加入制度」を活用することで、受け取る年金額を増やすことが可能です。詳しく見ていきましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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任意加入制度とは?

任意加入制度とは、60~65歳未満の5年間に国民年金に加入することで、65歳から受け取る老齢基礎年金(国民年金)の額を増やすことができる制度です。なお、任意加入の条件は次の1~4の全てを満たすことです。

1.日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の人
 
2.老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない
 
3.20歳以上60歳未満までの間の保険料の納付月数が480月未満
 
4.厚生年金、共済組合などに加入していない

ただし、年金の受給資格期間を満たしていない65歳以上70歳未満の人や、外国に居住する日本人で、20歳以上65歳未満の人も加入できます。
 

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国民年金の受給額について

国民年金は20歳から60歳までの全期間加入すれば、65歳以降に満額の月額6万8000円を受け取れます(2024年度)。
 
ただし、この40年間の間に保険料を納めていない期間があり、満額を受け取れない人は少なくありません。
 
例えば、20歳から22歳まで学生納付特例などで国民年金の保険料を納めていなかったものの、その後、仕事に就いて国民年金に加入し、60歳まで働いたとします。このような場合、未納分については老齢基礎年金の受給額には反映されませんので、年金を満額受け取ることはできません。
 
厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老後に受け取る老齢基礎年金の平均受給額は、男性は月額5万8798円、女性は月額5万4426円です。
 
平均受給額で見ると、満額よりも1万円程度少ないようです。
 

任意加入すると年金はどれくらい増える?

それでは、任意加入によって実際にどのぐらい年金額が増えるのか計算してみましょう。今回は事例として、20歳から22歳までの2年間は学生だったため国民年金の保険料を納めておらず、その分を任意加入によって補填した場合で計算します。
 
国民年金保険料を480月分納付した場合、満額の月額6万8000円を受け取れます。480月で6万8000円ですので、大学の2年間(24ヶ月)分を任意加入したとすると、月額3400円、年間にすると約4万円が増額される計算です。
 
つまり、2年間の任意加入により、65歳以降は年間で約4万円の老齢基礎年金が増えることとなります。
 
とは言え、気になるのは、任意加入により支払った保険料に対して、損をするのではないかという点です。
 
国民年金の保険料は、2024年度は月額で約1万7000円ですので、2年間(24ヶ月)の総額は約40万8000円です。
 
一方、65歳からもらえる年金は約4万円増えますので、10年間分の75歳まで生きれば元が取れると言えます。厚生労働省の令和5年簡易生命表によると、平均寿命は男性は81歳、女性は87歳ですので、任意加入で支払う保険料より受け取る年金額の方が多くなる可能性はじゅうぶんあると言えるでしょう。
 
人は何歳まで生きるかは誰にも分かりません。長寿のリスクに備えるという意味でも、任意加入に入れる条件を満たす人には検討の余地があるでしょう。また、任意加入によって納めた国民年金保険料は社会保険料控除の対象になるので、節税にもつながります。
 

まとめ

老齢基礎年金は原則として65歳から受け取ることが可能です。しかし、20歳から60歳までの期間で、国民年金保険料を納付していない期間があれば、もらえる年金額は満額から減ってしまいます。
 
任意加入制度の加入条件を満たしている人は、制度の活用を検討するのもよいでしょう。年金の受給額を少しでも増やして、将来の備えを整えられると良いですね。
 

出典

日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
日本年金機構 任意加入制度
日本年金機構 国民年金保険料
厚生労働省 令和5年簡易生命表の概況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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