更新日: 2019.01.07 iDeCo(確定拠出年金)

〈個人事業主の年金〉 ③個人事業主の確定拠出年金(iDeCo)

〈個人事業主の年金〉 ③個人事業主の確定拠出年金(iDeCo)
前回は、個人事業主が老後資金作りに利用できる制度をいくつかご紹介しました。それぞれ一長一短ありましたが、今回は確定拠出年金について、詳しく見ていきましょう。

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黒澤佳子

Text:黒澤佳子(くろさわよしこ)

CFP(R)認定者、中小企業診断士

システム監査技術者、不正検査士(CFE)
アットハーモニーマネジメントオフィス代表
栃木県出身。横浜国立大学卒業後、銀行、IT企業、監査法人を経て独立。個別相談、セミナー講師、本やコラムの執筆等を行う。
毎日小学生と高校生の子育てに七転八倒しながら、明日の子供たちが希望を持って暮らせる社会の実現を願い、金融経済教育に取り組んでいる。
また女性が自分らしく希望を持って生きられるよう、女性起業家支援を中心に経営サポートを行っている。
大学では会計、マーケティング、経営、経済等のビジネスの基本科目の講義を担当。
https://www.atharmony-office.jp/

個人事業主が加入する確定拠出年金(iDeCo)は?

自営業者が加入できる確定拠出年金は個人型で、掛金は最高68,000円(月額)まで拠出できます。
月額5,000円から1,000円きざみで設定できます。
今年1月より、第3号である専業主婦(夫)も加入できるようになりました。
その場合の掛金は、23,000円が上限です。
国民年金基金などと違って、運用は自己責任で、自分で運用指示(指図)を出します。運用商品は、預貯金、株、債券、投資信託、保険商品など幅広く、個々には元本が保証される商品も含まれています。商品の配分は自分で決める形式なので、リスクをとりたくなければ、元本保証の商品の割合を高め、リスクをとってでも儲けにこだわるなら、利回りのよい商品の割合を高める、という指示を出すことになります。
このあたりは投資の経験のある方はわかると思いますが、投資信託の商品選びと似ていて、リスクとリターンは表裏一体の考え方そのものです。世の中の金融商品は、ハイリスクハイリターンとローリスクローリターンしか存在しないのです。

この点にリスクと不安を感じる方は少なくありませんが、安定運用をしたければ、極端にいうと元本保証の商品を100%にすればよいわけです。ただし、現在のような超低金利の時は、100%預貯金で運用すると手数料の方が利息を上回ってしまう可能性もありますので注意が必要です。
手数料は、口座管理手数料や口座開設・移管料、信託報酬手数料などがかかります。口座管理手数料は金融機関ごとに異なります。残高によって無料のところもあれば、年間5,000円以上かかる金融機関もありますので、申込みの前に確認が必要です。ただし金融機関によって口座管理手数料が無料になったとしても、国民年金基金連合会手数料が月額103円、事務委託先金融機関手数料が月額64円はかかります。

確定拠出年金の給付には、老齢給付、障害給付があります。また死亡時と脱退時には一時金が支払われます。原則60歳以降に、一時金または5年以上の有期または終身年金として老齢給付を受け取ることができます。

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個人事業主にとって、確定拠出年金(iDeCo)のメリット、デメリットは?

確定拠出年金(iDeCo)は、①拠出時、②運用時、③給付時の3時点でそれぞれメリットがあります。

拠出時の掛金は、全額所得控除(小規模企業共済掛金控除)が使えることです。掛金を最大月額68,000万円まで拠出した場合、年間816,000円が所得控除できます。
個人年金の控除は最大4万円なので、どれだけ多くの控除が使えるかがおわかりかと思います。所得は、国民健康保険料の算出にもかかわるので、節税効果だけでなく、保険料も節約できるでしょう。

運用時には、運用益に対して非課税です。確定拠出年金をよく投資信託と同じという方がいますが、投資信託は運用益に対して税金がかかります。

給付時には、年金として受け取る場合は公的年金等控除、一時金として受け取る場合は、退職所得控除の計算になります。一時金として受け取る場合、金額や加入期間によっては、税額がゼロになることもあります。
このような税制におけるメリットが大きいのが、確定拠出年金(iDeCo)の特徴と言えます。給付額は受け取り時まで確定ではないものの、所得控除や非課税のメリットの効果は確定なので、個人事業主の老後資金作りの一助になるでしょう。

一方でデメリットですが、
① 60歳まで引き出すことができない
② 運用は自己責任(元本割れする可能性あり)
③ 管理コスト(手数料)がかかる
があげられます。

老後資金を計画的に作ることを目的としているのであれば、却って①は確実に資産形成できますし、②と③は安定運用を心がけて、節税効果を活かしながら賢く利用しましょう。

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