更新日: 2019.01.11 iDeCo(確定拠出年金)

あなたはどっち?iDeCo(個人型確定拠出年金)を「年単位拠出」にした方がいい人、そうではない人

執筆者 : 福島佳奈美

あなたはどっち?iDeCo(個人型確定拠出年金)を「年単位拠出」にした方がいい人、そうではない人
公的年金だけでは老後資金が不足する時代。個人型確定拠出年金「iDeCo」は、2017年1月から主婦や公務員も加入できるようになり、加入者も順調に増えています。
 
掛金は毎月一定額を納付する方法が基本ですが、2018年1月からは年間の拠出額の範囲内で、柔軟に掛金を設定できるようになりました。つまり、掛金をまとめて一括払いにすることも可能になったわけですが、納付月と金額を指定して年単位で納付した方がいいのか、このまま毎月一定額を納付した方がいいのかが悩んでいる方もいらっしゃると思われます。
 
今回は、iDeCoの掛金の拠出方法を変更する際に気を付けたい点についてお伝えします。
 
福島佳奈美

Text:福島佳奈美(ふくしま かなみ)

【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務。子育て中の2006年にCFP資格を取得、FPとして独立。「ライフプランニング」をツールに教育費や保険、住宅ローンなど家計に関する悩みを解決することが得意です。

iDeCoの掛金の「年単位拠出」とは?

iDeCoは、60歳まで掛金を納付し、税制メリットを受けながら老後資金を形成できる私的年金制度です。国民年金の被保険者でしたらほとんどの方が加入できますが、掛金をいくら拠出できるかは職業などによって異なります。
 
例えば、自営業者などの国民年金の第1号被保険者が拠出できる金額は年額816,000円ですが、会社員(第2号被保険者)の方は、企業年金の有無などにより年額276,000円、240,000円、144,000円と異なります。ただし、規約によってはiDeCoに加入できない場合もありますので会社に確認が必要です。
 
また、公務員(第2号被保険者)の方は年額144,000円、専業主婦(夫)やパート労働者などの第3号被保険者は、年額276,000円が上限額となっています。
 
iDeCo の掛金は、月々5,000円以上の1,000円単位で設定した掛金を毎月一定額で納付する方法だけでしたが、2018年1月から、年間の上限額の範囲内で年1回以上の任意の月に指定した金額を納付する「年単位拠出」が可能になりました。
 
つまり、毎月一定額の掛金にボーナス月のみ上乗せで納付する方法や、年に1回~数回、まとめて納付する方法も可能になります。ただし、このような納付方法にするには、事前に掛金の年間計画を記載した「加入者月別掛金額登録・変更届」を提出する必要があります。
 

iDeCoを「年単位拠出」にするメリット

生命保険料を年払いにすると、保険料が割引になるといったメリットがあり利用している方もいらっしゃると思いますが、iDeCoを年単位拠出にするメリットはあるのでしょうか。
 
iDeCoの口座管理手数料には3種類あります。そのうち国民年金基金連合会に納付1回ごとに支払う103円、事務委託先金融機関に支払う月額64円は必ずかかります。また、運営管理機関により指定の手数料があります(無料のところもあり)。
 
このうち、納付1回ごとに国民年金基金連合会に支払う手数料103円は、納付回数が少なくなれば手数料の節約になりますので、年単位拠出にするメリットはあるといえます。
 
また、ボーナス月など収入の多い月に合わせて掛金を増やすことが可能になりましたので、これまでより柔軟に老後資金計画を立てられるでしょう。
 

iDeCoを「年単位拠出」にした方がいい人とは?

ただし、iDeCoを年単位拠出にする場合には、いくつか気を付けた方が良い点もあります。
 
投資信託などのリスク型商品に投資する場合、一定額をコツコツと買い付けていく「ドルコスト平均法」が投資の基本ですが、年単位拠出だと投資時期が集中してしまい、価格変動のリスクが高くなってしまいます。ですので、投資性の高い商品に、まとめて拠出するのはあまりお勧めできません。
 
ただし、投資性の高い商品に毎月コツコツと投資しつつ、ボーナス月だけ定期預金を上乗せする、という利用法は良いのではないでしょうか。
 
もともと、定期預金など価格変動のリスクが無い商品だけに投資している方は、手数料が少なく済むので年に一度の拠出にするメリットがあるでしょう。
 
ただし、iDeCoを年単位拠出にする場合、12月の引き落としを必ず含めるというルールがあります。そこで掛金の拠出を年末の1度だけにしてしまうと、サラリーマンが年末調整で税金の還付手続きを受けるために必要な「小規模企業共済等掛金払込証明書」の発送が翌年になってしまいます。つまり、年末調整に間に合わなくなってしまい、税金の還付を受けるための確定申告が必要になってしまうのです。
 
サラリーマンの方が年末調整に間に合わせるためには、1月~9月の間に1度、12月引き落としと併せて最低2回は掛金の拠出が必要となりますので注意しましょう。
 
他にもiDeCoの年単位拠出については詳細なルールがありますので、iDeCoの公式サイトなどで内容をよく確認して検討してみましょう。
 
Text:福島佳奈美(ふくしま かなみ)
DCアドバイザー

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