よく耳にする「老後のお金がなかなか貯められないから節税の為、確定拠出年金と個人年金で迷っています」 節税の観点で比較してみた

配信日: 2018.09.05 更新日: 2019.01.10

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よく耳にする「老後のお金がなかなか貯められないから節税の為、確定拠出年金と個人年金で迷っています」 節税の観点で比較してみた
「老後のお金がなかなか貯められないから、保険に入ろうと思うんです」「老後への備えは保険でしています」「節税もしたいので個人年金を検討しています」。どのセリフも、家計相談でよく耳にするものです。
それに加えて最近は「確定拠出年金も節税っていわれたけどどうですか?」という質問も聞かれるようになりました。
 
個人年金と確定拠出年金の違いについて、お金を支払ったときの「節税」という観点で比較してみます。
 
塚越菜々子

Text:塚越菜々子(つかごし ななこ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
お金の不安を賢く手放す!/働くママのお金の教養講座/『ママスマ・マネープログラム』主催
お金を貯める努力をするのではなく『お金が貯まる仕組み』づくりのサポート。保険や金融商品の販売を一切せず、働くママの家計に特化した相談業務を行っている。「お金だけを理由に、ママが自分の夢をあきらめることのない社会」の実現に向け、難しい知識ではなく、身近なお金のことをわかりやすく解説。税理士事務所出身の経験を活かし、ママ起業家の税務や経理についても支援している。
https://mamasuma.com

個人年金と確定拠出年金(iDeCo)の特徴

・個人年金

民間の保険会社の商品として販売されています。公的年金ではなく私的年金の一つですね。細かい内容は商品や契約の仕方によって違いますが、多くは60歳や65歳から5年・10年などの定められた期間で受け取るものです。
 
増え率は運用によって変動するものもありますが、基本年金額と受取年数が決まっているタイプ(受取額が固定されている)の契約をしている人が多いと思います。
 

・確定拠出年金(iDeCo)

「節税しながら作るじぶん年金」などといわれることがありますね。公的年金で足りない部分を補完するための制度で、保険会社の個人年金よりはもう少し「公的」に近い部分があります。
 
原則60歳になるまでは引き出すことができません。確定拠出年金の口座を証券会社などに持ち、その中で資産運用をすることが可能です。自分の運用成績によっては積み立てた(拠出した)金額を下回ることも上回ることもあります。
 

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支払ったときの節税の違い

個人年金に加入するときに「これくらい節税になりますよ~」と勧められた記憶はありませんか? また、確定拠出年金(iDeCo)も節税といわれますね。
 
例えば年収500万円程度で、所得税が10%・住民税が10%に該当する場合に、毎月2万円を個人年金と確定拠出年金に支出した場合、税金はどう違うのか見てみましょう(実際の所得税率はそれぞれの所得によって違いますのでご注意ください)。
 

・個人年金

一定の条件を満たしている場合は「生命保険料控除」という制度を使って、税金がかかる元の部分を減らすことができます。減らせる額は計算式が決まっています。
月に2万円(年間24万円)支払っている場合・・・・
所得税の計算の元から40,000円(上限いっぱい)所得税率10%として4,000円の節税。
住民税の計算の元から28,000円(上限いっぱい)住民税が10%として2,800円の節税
合計6,800円の節税効果があります。
 

・確定拠出年金(iDeCo)

確定拠出年金の場合は「小規模企業共済等掛金控除」という制度を使って、個人年金と同様に税金がかかる元の部分を減らすことができます。
こちらの場合は掛けた(拠出した金額)全額を差し引くことができます。
 
月に2万円(年間24万円)拠出した場合・・・
所得税の計算の元から24万円。所得税率10%として24,000円の節税。
住民税の計算の元から24万円。住民税が10%として24,000円の節税。
合計48,000円の節税効果があります。
 
注意事項としては、個人年金の「生命保険料控除」は保険料を支払った人の税金の元から差し引くことができるものの、確定拠出年金の「小規模企業共済等掛金控除」は拠出した名義人本人からしか差し引くことができないということです。専業主婦やパートなどで所得税・住民税を納めていない場合、節税効果はありません。
 

受け取るときの税金の違い

個人年金も確定拠出年金も基本的に老後のためのお金ですので、多くの場合が60歳以降に受け取ることになると思います。受け取るときにも税制上の違いがあります。
 

・個人年金

原則として雑所得として課税されます。これまで支払った金額を一定の計算式に当てはめて経費とみなし、その差額が「雑所得」の金額となります。受け取るときにそのほかに所得があればそちらと合わせて税金の計算をします。
 

・確定拠出年金(iDeCo)

確定拠出年金は、分割で受け取る場合は個人年金同様に「雑所得」とみなされます。ただし、雑所得の中でも『公的年金』と同じ計算の仕方をするので、65歳以上は公的年金と合わせて120万円までは課税されません。
 
また、分割ではなく一度で受け取ることもできるのが確定拠出年金の特徴です。この場合は会社の退職金と同じように「退職所得」とみなされます。
 
こちらは拠出してきた年数によって税金がかからない金額が決まっていますが、例えば20年の場合は800万円までは税金がかかりません。20年以上は1年当たり70万円ずつ税金がかからない金額が増えていきます。それを超える場合でもほかの所得とは独立して計算されるという特徴があります。
 
個人年金と確定拠出年金。節税の面でいえば確定拠出年金に分があるといって差し支えないでしょう。ですが、重要なのは必ずしも節税だけではありません。それぞれの特徴を理解し、自分にとって有利な方(あるいは両方)を選択していただけたらと思います。
 
Text:塚越 菜々子(つかごし ななこ)
CFP(R)認定者

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