生活保護の「52%」が65歳以上!? 年金の受給額や生活費の平均はどのくらい?
配信日: 2023.07.30

本記事では、この割合に着目し、老後対策を実施する上で参考になる情報も紹介します。

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65歳以上の生活保護受給者の割合は?
2021年に厚生労働省は生活保護の現状を資料にまとめ、その中で生活保護受給者の52%を65歳以上が占めていると報告しました。半分以上におよぶという結果から、この制度は高齢者世帯にとって重要なセーフティーネットであることが分かります。
一方、50~59歳の割合は13.5%で、60~64歳の割合は7.9%でした。これらのデータは、老後にさしかかる65歳というラインを超えると、他の年代と比べて生活資金が不足しやすくなる実情を示しています。
ただし、65歳以上の全人口と比較した場合、生活保護受給者はほんの一握りといえる規模にすぎません。内閣府の「令和4年版高齢社会白書」によると、65歳以上のうち生活保護受給者の割合は、3%未満で横ばいの推移となっています。したがって、老後対策をしっかり行えるなら、過剰に心配する必要はないでしょう。
年金受給額と支出はどれくらい?
日本では原則的に65歳から年金が支給されます。厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、平均受給月額は国民年金が5万6479円で、厚生年金は国民年金分も含めて14万5665円でした。
一方、総務省が発表した同年の「家計調査年報」には、65歳以上の支出に関する平均月額が掲載されています。単身無職世帯の消費支出は13万2476円で、夫婦のみの無職世帯は22万4436円です。実際は社会保険料などの非消費支出も発生するため、トータルの出費はもっと大きくなります。
上記の平均値で収支を計算すると、厚生年金を受給する場合でも、それを支払いにあてると、ほとんど手元に残りません。支出が多い月はマイナスになることもあるでしょう。国民年金のみを受給する場合は、常に生活資金が足りなくなるリスクもあります。いずれにせよ、年金収入だけでは経済的に余裕があるとは言えず、他の方法で生活資金を確保することが必要です。
生活保護という選択肢も覚えておこう
年金受給者でも生活保護を申請できます。ただし、承認されるには制度の要件を満たさなければなりません。預貯金などの資産や労働の能力を始めとして、あらゆるものを活用しながら最低限の生活を維持しようとすることが要件です。
そして、最大限の努力をしても生活資金が足りない場合に限り、暮らしに不可欠な金額に対する差額を支給してもらえます。また、扶養義務者がいる場合は、そちらに養ってもらうほうが生活保護より優先度は高いです。
前述のように収支の不足分を計算し、現役時代から貯蓄などの老後対策を実施することが理想です。しかし、それだけではカバーできない場合もあるため、選択肢の1つとして生活保護の制度を把握しておくとよいでしょう。
安心して暮らせる老後を迎えるために!
生活保護受給者に占める65歳以上の割合は半分を上回っています。年金受給額と支出の平均を比較すると、生活資金が不足するリスクの大きさを理解しやすいです。生活保護に関する知識を得ることも含め、早い段階でスタートする老後対策が重要になります。安心して暮らせる第2のステージを目指し、現時点の自分に何ができるのかを考えて行動に移しましょう。
出典
厚生労働省 生活保護制度の現状について
内閣府 令和4年版高齢社会白書(全体版) 第2節 高齢期の暮らしの動向
厚生労働省 令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年) 結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー