更新日: 2019.01.10 その他年金

障害の程度が軽く、障害年金を受けられなかった。 後から悪化した場合、請求できるの?

執筆者 : 井内義典

障害の程度が軽く、障害年金を受けられなかった。 後から悪化した場合、請求できるの?
病気やケガが原因で障害が残っても、障害の程度が軽く、年金制度上の障害等級に不該当の場合は、障害年金を受けられないことになります。
 
しかし、後になってもし障害が悪化した場合は、障害年金が請求できることがあります。
 
井内義典

Text:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

1982年生まれ。株式会社よこはまライフプランニング代表取締役。

資格学校勤務時代には教材編集等の制作業務や学習相談業務に従事し、個人開業の社会保険労務士・FPとしては公的年金に関する研修講師を務め、また、公的年金の相談業務も経験してきている。

これらの経験を活かして、専門誌で年金に関する執筆を行っている。2018年に、年金やライフプランに関する相談・提案、教育研修、制作、調査研究の各事業を行うための株式会社よこはまライフプランニングを設立、横浜を中心に首都圏で活動中。日本年金学会会員、日本FP学会準会員。

障害認定日に障害等級に該当しなかったら

公的年金制度の障害年金には、障害の重さに応じて障害等級が定められています。そのうち国民年金制度からの障害基礎年金の場合は、重いほうから1級、2級があり、厚生年金保険制度からの障害厚生年金の場合は、1級、2級の他、2級より軽い3級があります。重い等級のほうが、年金額が高く計算されたり、加算がされたりすることになります。
 
障害年金は、初診日(障害の原因となる病気やケガについて初めて病院の医師の診療を受けた日)があって、保険料の納付要件を満たした上で、その初診日から1年6か月を経過した日(1年6か月経過前に症状が固定した場合はその日)である障害認定日に障害等級に該当していれば、受給できるようになります。
 
もし、障害が軽いために障害等級に該当していなかった場合には、障害年金は受給できないことになります。
 

事後重症による障害年金

しかし、障害認定日に障害等級に該当していなくても、その後になって、障害の状態が悪化する場合もあります。
 
悪化した結果、障害等級に該当するようになれば、障害年金を請求できるようになり、請求して障害年金を受け始めることが可能となります。後になって悪化することから事後重症といい、事後重症による障害年金の請求となります(【図表1】)。
 

 

年金の請求手続は早めに!

年金は月単位で計算されることになっていますが、障害が悪化して年金を受けられる条件が揃っていても、年金事務所等に請求手続きをした月の翌月分からでないと受給できないことになります。
 
障害等級該当から請求まで何か月、何年あったとしても、障害等級に該当した頃までさかのぼって支給されません。1か月手続きが遅れると、その分本来受け取れるはずの年金が受け取れなくなることになるでしょう。
 
また、事後重症による請求は、65歳以降はできません(【図表2】)。早めに請求の手続をする必要があるといえるでしょう。
 


 
なお、65歳から受給できるようになる老齢基礎年金を65歳よりも前に繰り上げて受給した場合も、たとえ65歳前であっても、事後重症による請求はできなくなりますので注意が必要です。
 
Text:井内 義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

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