更新日: 2019.01.10 国民年金
学生の内では納めることが難しい国民年金保険料はどうなる?(4)学生納付特例の追納制度
これが追納制度です。第4回目の今回は、追納制度と追納保険料について取り上げたいと思います。
Text:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
1982年生まれ。株式会社よこはまライフプランニング代表取締役。
資格学校勤務時代には教材編集等の制作業務や学習相談業務に従事し、個人開業の社会保険労務士・FPとしては公的年金に関する研修講師を務め、また、公的年金の相談業務も経験してきている。
これらの経験を活かして、専門誌で年金に関する執筆を行っている。2018年に、年金やライフプランに関する相談・提案、教育研修、制作、調査研究の各事業を行うための株式会社よこはまライフプランニングを設立、横浜を中心に首都圏で活動中。日本年金学会会員、日本FP学会準会員。
10年以内に納めることができる
学生納付特例により猶予された保険料については、あとで納めることができる追納制度があります。学校を卒業し、社会人になれば収入も増えることにもつながりますが、学生時代に猶予をされたそれぞれの月について、10年以内に納めることができます。
追納した期間については当然、老齢基礎年金の計算においては納付の期間となります。27月分の猶予期間があり、その分をすべて追納すれば、反映される額は4万3836円(77万9300円×30月/480月)になり、追納しない場合はその分の老齢基礎年金が少ないままという計算になるでしょう。
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保険料は割増になることもある
各月の保険料の追納は10年以内ですが、追納する保険料は納付猶予の対象となった月の翌々年度までに納めれば、当時の保険料の額となりますが、それよりあとの年度になった場合は、当時の保険料の額から加算がされた額となります【図表1】。
ただし、年度の最後の月である3月分については翌々々年度の4月末までの追納であれば加算はされません)。延滞利息のようなものが発生するとイメージできるかと思います。
実際に過去の保険料についての、平成30年度に納付する額は【図表2】のとおりとなります。前の年度の分になればなるほど加算率は大きくなりますので、10年ギリギリで追納する場合は、保険料の負担も大きくなることになります。
追納した保険料については所得控除ができる
学校を卒業し、就職して社会人になると、毎月勤務先から給与を受け取ることになり、学生の頃より収入も増えることになるでしょう。
給与の収入額によって、所得税も課税されることになりますが、学生時代の国民年金保険料を追納した場合、その追納分は社会保険料控除として所得の額から控除できることになります。そして、控除されたあとの所得の額から、所得税の額が計算されることになりますので、年間の所得税の額を安くすることができます。
毎月の給与から源泉徴収されていた所得税の一部が、12月の年末調整で戻ってくることにもなりますし、また、翌年の住民税もその分減ることにもなります。
そのためには、追納した保険料について年末調整時に会社に申告することを覚えておく必要があるでしょう。
Text:井内 義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー