更新日: 2023.03.31 国民年金

大学生でも「国民年金」を払う必要はある?「親が高収入」でも猶予は可能? 後悔しないための3つの選択肢を紹介

大学生でも「国民年金」を払う必要はある?「親が高収入」でも猶予は可能? 後悔しないための3つの選択肢を紹介
20歳になると、学生でも国民年金に加入しなければいけません。未納額があると将来受け取れる年金額が減るだけではなく、障害を負った場合など、もしもの際に年金が給付されない可能性もあります。
 
本記事では、学生が国民年金保険料を支払うときの方法について、さらに、納付が難しい場合にどのような対策があるのかについて解説します。

執筆者:古市守()

大学生が国民年金を支払う3つの方法

国民年金は、日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人に支払い義務があります。学生だからといって支払い義務はなくなりません。支払わないままでいると、老齢年金や障害年金を受け取るときに不利になるだけではなく、滞納処分を受けてしまうこともあります。
 
大学生が国民年金を支払うには、次の3つの方法があります。

●本人が支払う
●親が支払う
●学生納付特例制度を利用する

年金事務所から支払いのお知らせが届いたら放置せず、いずれかの手続きを取るようにしましょう。
 

本人が払う

国民年金保険料の納付義務は本人にあります。本人がアルバイトをして得た収入や、親からの仕送りを支払いにあてることが考えられます。ただし、在学中は収入が不安定で生活状況に余裕がないということもあるでしょう。20歳になっても働き方や支出に変化がなければ、急に収入が増えるというわけではありません。
 
2023年度の国民年金保険料は毎月1万6520円です。もし本人が支払うことができない場合には、次の2つの手段を検討しましょう。
 

親が支払う

本人が支払うことができない場合は、親が負担する選択肢もあります。在学中は、住民票上の住所が親元の場合や、定期的に仕送りを受ける場合があります。将来、子どもが後悔しないように、親が年金保険料を納めておく場合もあります。支払った保険料は、親の社会保険料控除の対象となるので、年末調整や確定申告のタイミングで忘れずに記載するようにしましょう。
 
また、子どもの住所が親の住所と異なる場合、年金事務所からお知らせを見落とす可能性があるため注意しましょう。20歳になったら子どもの年金がどうなっているのか、親も一緒に確認することが大切です。
 

学生納付特例制度を利用する

事情があって納付が困難な場合や、本人の自主性に任せたいという場合には、学生納付特例を利用する手もあります。
 
学生納付特例は、学生の支払いを猶予する制度です。審査では以下のような計算式に基づき、学生本人所得のみで判定されるため、家族の所得は関係ありません。
 
所得128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等
(基準となる所得金額を給与収入に換算すると、年間約194万)
 
学生で起業して成功している場合などを除き、一定以上の頻度でアルバイトなどをしているのであれば、対象になりやすい判定水準といえるでしょう。学生納付特例制度を利用した期間が10年以内であれば、保険料をさかのぼって納めること(追納)ができます。
 
追納する場合は、年金事務所または住民登録している市区町村役場へ連絡しましょう。また、事情があって追納できなくても、未納とは異なり受給資格期間に含まれます。
 

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学生納付特例制度と老齢基礎年金・障害基礎年金との関係

学生納付特例制度を利用して支払いの猶予を受けた場合、未納とは取り扱いが異なるため、老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取る際に「有利」となります。
 

老齢基礎年金との関係

老齢基礎年金を受けるためには、原則として保険料の納付済み期間等(受給資格期間)が10年以上必要です。学生納付特例制度を利用した期間は、この10年の受給資格期間に含まれます。
 
ただ、保険料を納めた場合と同じ金額の老齢基礎年金を受け取りたい場合には、追納することが必要になるため注意しましょう(老齢基礎年金を満額受けるためには40年分の保険料納付が必要)。
 

障害基礎年金等との関係

障害や死亡といった予期しない事態が起こっても、次の場合は障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取ることができます。学生納付特例制度を利用している期間は、保険料納付済み期間と同様に取り扱われるので、万一のときにも安心です。

●事故などが発生した月の前々月までに、保険料の納付済み期間(保険料免除期間や学生納付特例制度利用期間を含む)が3分の2以上ある場合
●事故などが発生した月の前々月までの1年間に、保険料の未納がない場合

 

納付が難しいときは窓口で相談を

学生納付特例制度は本人の所得のみで判定されるので、学生本人の所得が一定額以上でなければ該当する人も少なくないはずです。老後やもしもの場合に備えた保障を確保できれば、手元の資金に今より余裕ができるかもしれません。本人や親の納付が難しい場合には、市区町村役場や年金事務所などの相談窓口で早めに相談するようにしましょう。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
 
執筆者:二角貴博
2級ファイナンシャルプランナー

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