「年収700万」でも年金は満額もらえない!? 計算方法や「満額」について解説
配信日: 2023.03.28
本記事では、勘違いしがちな年金の「満額」について解説していきます。

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会社員が受け取る年金は2種類
前提として、会社員が将来受け取れる公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2種類です。保険料については、基本的には毎月の給与や賞与から事業主が差し引くかたちで徴収されています。それでは、国民年金と厚生年金の計算方法と「満額」についての考えを見ていきましょう。
厚生年金受給額の計算方法と「満額」
厚生年金の受給額は、大まかにいうと「給料の平均×保険料納付月」で求められます。そのため、AさんとBさんが同じ月数働き、保険料を納付したとしても、給料がAさんの方が高ければ、受給額もAさんの方が多くなります。
また、多くの会社では定年が60歳に設定されており、20~60歳まで働くと保険料納付期間は480ヶ月です。
しかし、厚生年金は原則70歳まで加入が可能です。例えば、20~70歳まで厚生年金に加入すると、600ヶ月が加入期間です。つまり、人によっては480月が加入期間の上限ではないということです。
このように、厚生年金は給料も保険料納付月も人によって異なるため、「満額」という考え方は存在しません。とはいえ、加入期間については70歳という上限がありますし、平均給料についても月額給料が65万円、1回の賞与が150万円という上限が設定されています。「満額」はありませんが、「上限」はあるというのが現状です。
国民年金受給額の計算方法と「満額」
国民年金の受給額は、保険料納付月で決まります。20~60歳までの40年間、480月保険料を支払うと、「満額」の77万7800円が受給できます。なお、「満額」の金額は毎年見直され、令和5年4月以降は現状よりも増えることとなります。
厚生年金の加入時期次第では国民年金も満額とならない場合も
厚生年金に480月加入しているからといって、必ずしも国民年金が「満額」となるとは限りません。
具体的には、20~60歳までの480月厚生年金に加入していれば、国民年金にも加入していたことになり、国民年金は「満額」です。
しかし、例えば20~22歳まで国民年金を払っておらず、22~62歳までの480月厚生年金に加入していた場合などは、「満額」とはなりません。満額とするためには、60歳以降に「任意加入」をして国民年金の保険料を支払う必要があります。
ただし、任意加入は60歳以降に厚生年金の保険料を支払いながら働いている人はできません。つまり、会社員で20~60歳までに国民年金を払っていない期間があり、60歳以降厚生年金に加入している人は、国民年金を「満額」にすることは不可能です。しかし、60歳以降厚生年金に加入している人には「経過的加算」という制度があります。
経過的加算で年金額を上乗せできる
経過的加算とは、20歳未満や60歳以降に厚生年金に加入していると、老齢厚生年金に上乗せして年金を受け取れる制度であり、国民年金を「満額」にできない分を補ってくれます。
なお、経過的加算で年金額を増やすには、厚生年金全体の加入月数(上限480ヶ月)から20~60歳までの厚生年金の加入月数を引いた月数がプラスになるという条件があるので注意しましょう。
具体的には、20~22歳までが国民年金未納、22~62歳まで厚生年金に加入していた場合、厚生年金全体の加入月数は480ヶ月、20~60歳までの厚生年金の加入月数は456ヶ月で、その差の24ヶ月分の経過的加算を受給できることとなります。
まとめ
厚生年金には「満額」という概念がなく、国民年金は加入期間によっては「満額」にならないかもしれませんが、経過的加算で補うことが可能です。自分が将来どれくらいの年金を受け取れるかは、定期的に送られてくる「ねんきん定期便」などで確認してみましょう。
出典
日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 は行 報酬比例部分
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和4年度版)
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
厚生労働省 令和5年度の年金額改定についてお知らせします
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部