更新日: 2023.03.24 国民年金
年金受給前に「死亡」してしまった場合、支払った保険料は戻ってくる? 遺族は年金を受け取れるの?
そこで本記事では、年金受給前に加入者である夫が亡くなってしまった場合に、遺族である妻や子などが受け取れる給付金の3つの種類について解説します。
執筆者:茂野博起()
家族が受け取ることができる給付金の内容
国民年金の加入者が受給前に亡くなった場合は、家族が「遺族基礎年金」や「寡婦年金」、「死亡一時金」を受け取ることが可能です。
遺族基礎年金
国民年金の加入者が亡くなった場合は、その方に養われていた配偶者や子どもなどの遺族が、遺族基礎年金を受け取ることができます。亡くなった加入者によって生計を維持されていた配偶者や子どもがいない場合(加入者が独身の場合)や、加入者が両親とも生計を共にしていない場合は遺族基礎年金を受け取れる方はいません。
遺族基礎年金を遺族が受け取るには、亡くなった人、受け取る人それぞれが要件を満たす必要があります。亡くなった人の条件は以下の通りです。
・国民年金の被保険者である間に亡くなった
・国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の人で、日本国内に住所を有していた人が亡くなった
・老齢基礎年金の受給権者であった人が亡くなった
・老齢基礎年金の受給資格を満たした人が亡くなった
受け取る人の条件は、以下の通りです。
・再婚していない子のある配偶者
・18歳になった年度の末日(3月31日)を経過していない子ども、または1、2級障害がある場合は20歳未満の子ども
つまり、遺族基礎年金は「子ども」がいない配偶者は受給できません。遺族基礎年金を受け取る人が配偶者または子どもによって、遺族基礎年金の金額が異なります。
・子のある配偶者が受け取る場合は、77万7800円+子の加算額
・子が受け取る場合は、77万7800円+2人目以降の子の加算額
なお、「子の加算額」は1人目、2人目が各22万4700円、3人目以降は各7万4900円です。請求手続きは、年金事務所か市区町村役場の窓口で行うことができ、それぞれ指定の書類と必要書類をあわせて提出する必要があります。
寡婦年金
上記の通り、遺族基礎年金は要件に該当する「子」がいない配偶者は受け取ることができません。しかし、その場合でも「寡婦年金」を受け取ることができる可能性があるので確認していきましょう。
寡婦年金は、国民年金保険料を支払ってきた期間(免除を含む)が10年以上ある夫を亡くした妻に対して支給される年金です。寡婦年金の受給条件は、以下の通りです。
・事実婚を含む婚姻期間が10年以上あり、生計を共にしていた60歳から65歳の妻
受給額は、夫の第1号被保険者期間で計算した老齢基礎年金の4分の3の金額となります。2022年4月以降で老齢基礎年金の満額は年額77万7800円なので、4分の3の金額は58万3350円です。
請求手続きを行う場合は、市区町村役場の窓口か年金事務所に、それぞれの指定書類と必要書類を合わせて提出しましょう。
死亡一時金
死亡一時金は、国民年金の第1号被保険者として国民年金保険料を納めた期間が3年(36ヶ月)以上ある夫が老齢基礎年金、障害基礎年金のいずれも受けないまま死亡したとき、その人と生計を共にしていた遺族(配偶者、子、父母、孫、祖父母、 兄弟姉妹)に支給されます。
なお、遺族が遺族基礎年金を受けられるときは支給されず、 寡婦年金と死亡一時金の両方を受けられるときは、どちらか一方を選択することになります。
死亡一時金の受給に必要な、亡くなった人の条件は以下の通りです。
・国民年金保険料を納めた期間が3年(36ヶ月)以上ある
死亡一時金を受給できる家族には以下の優先順位があり、配偶者が最も優先されます。
・配偶者→子→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹
受給額は、12万円~32万円で、保険料を支払った月数に応じて決定される仕組みです。
請求手続きを行う場合は、「国民年金死亡一時金請求書」を市区町村役場の窓口か年金事務所に、必要書類と合わせて提出してください。
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年金受給前に亡くなった場合は、遺族が受給できる
年金加入者である夫が年金受給前に亡くなった場合は、生計を維持されていた妻や子などは不安が大きいと思います。しかし、本記事で紹介したように、遺族基礎年金や寡婦年金、死亡一時金を受け取れる可能性があるので、該当する家庭の方は万一に備えて、それぞれの受給要件を確認しておくとよいでしょう。
出典
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 寡婦年金
日本年金機構 死亡一時金
執筆者:新川優香
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士