更新日: 2023.03.19 国民年金

全額免除されていた年金は追納しても年2万円しか得しない? その理由は?

全額免除されていた年金は追納しても年2万円しか得しない? その理由は?
経済的な理由で納付を全額免除されていた年金保険料を追納したほうがいいのか、しないほうがいいのか悩むこともあるかもしれません。後からでも保険料を払う以上は、1円でも年金を多く受け取れるようにしたいと考えるのは自然なことです。
 
ただし、あまり年金額が増えない可能性もあります。その理由と対策を解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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免除による受給資格や年金額への影響

保険料免除制度の利用申請を行って承認されると、その期間中は保険料の納付を免除されます。免除は全部で4種類(全額、4分の3、半額、4分の1)あり、全額免除されると保険料の納付をしなくてもよくなります。納付の催告等が来ることもほとんどありません。
 
2022年(令和4年)時点で月額1万6590円の支払いがなくなるのは、経済的に困窮している場合は特に影響が大きいです。
 
全額免除されたら将来年金がもらえないと不安になる人もいますが、そんなことはありません。年金を受け取るための受給資格期間には、免除期間も算入されます。ただ、年金額は保険料を満額納付している人に比べると半分になります。
 

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保険料と年金額の関係は?

原則65歳から受け取れる老齢基礎年金の年金額は「77万7800円×(「保険料納付済月数」+「全額免除月数」×4/8+「4分の1納付月数」×5/8+「半額納付月数」×6/8+「4分の3納付月数」×7/8)÷{40年(加入可能月数)×12月}」の計算式をもとに算出されます。
 
保険料を満額払っている場合は、年間77万7800円(月額6万4816円)もらえます。
 
保険料免除されても通常の半分の年金額を受け取れます。これは国民年金の保険料は国も半分負担していることが関係しています。それだけでなく全額免除された期間に万一病気やけが、死亡等の事態が発生すると障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取ることができます。
 
免除申請を行わず未納のまま放置した場合は、受給資格期間が増えない、将来の年金額に反映されない、万一のときに障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取れない可能性があるといったリスクがあります。
 
経済的な理由で保険料の支払いが困難な場合は、すみやかに免除や納付猶予申請をすることをおすすめします。
 

全額免除されていたものを追納したらどうなる?

全額免除されている年金保険料を10年以内に追納すると、保険料納付済期間として扱われます。全額免除された期間分は年金額が半分になるので、不足分をカバーするためにできるかぎり追納したほうがいいといわれることもあります。
 
ただし、追納したから得をするとはかぎりません。
 
例えば、2年間全額免除されていて残りの期間は全て保険料を納付していた場合、将来受け取る老齢基礎年金は「77万7800円×(456月+24月×4/8)÷480月=75万8355円(月額6万3196円)」です。
 
満額「77万7800円(月額6万4816円)」と比べると、年間1万9440円減る計算です。
 
「月額1万6590円×24月(2年分)=39万8160円」を追納することで減少分をカバーできますが、「2年間で約4万円の不足分を補うために約40万円追納してもいいか」判断する必要があります。年間2万円の差なので20年長生きすれば、追納した約40万円はもとがとれます。それまでに亡くなってしまうと損する形です。
 
追納するメリットの一つは社会保険料控除を使って節税ができることです。仮に、課税所得300万円、追納分が約40万円の場合、所得税や住民税が約8万円軽減されます(所得税10%、復興特別所得税2.1%、住民税10%として計算)。
 
ただし、追納が得か損かは一概にはいえません。年金保険料、将来受け取る年金額、計算方法、年金制度の内容は今後変わる可能性があるからです。
 

まとめ

本記事では全額免除されていた年金は追納しても得にならないのか、その理由を解説しました。
 
追納で長期的に得をしたとしても、短期的には少なくない支出が発生するのは事実です。追納負担による家計への影響も考えたうえで判断していきましょう。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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