更新日: 2023.02.25 その他年金

年金受給中ですが、私が死亡したら「遺族年金」は誰にいくら支払われますか?

年金受給中ですが、私が死亡したら「遺族年金」は誰にいくら支払われますか?
年金受給者が亡くなったら、遺族年金は誰にいくら支払われるのでしょうか。フルタイムの仕事を卒業した年金世代にとって、早めに知っておきたいことの1つです。
 
本記事では、本人が現在受け取っている年金の種類別に、遺族が受け取れる可能性のある遺族年金、または一時金について要点を紹介します。

執筆者:二角貴博()

老齢基礎年金

「老齢基礎年金(国民年金)」を受け取っている人が亡くなったときに、以下に当てはまる人がいる場合、亡くなった人によって生計を維持されていた「子のある配偶者」は「遺族基礎年金」を受け取れます(配偶者がいない場合は「子」)。
 

●18歳になった年度の3月31日までの子
●20歳未満で障害等級1級または2級の子

 
ただし亡くなった人に、保険料納付済期間・保険料免除期間・合算対象期間を合計した期間が25年以上あることが必要です。
 
「子のある配偶者」が受け取る場合の年金額は「77万7800円(2022年度の額)+子の加算額」です。子の加算額は次のとおりです。
 

●1人目、2人目の子の加算額=各22万3800円
●3人目以降の子の加算額=各7万4600円

 
「子のある配偶者」が受け取る場合の受給期間は、亡くなった月の翌月分から、以下などの失権事由のいずれかに該当するときまでです。
 

●配偶者が死亡した
●配偶者が結婚した(内縁関係を含む)
●子ども(全員)が18歳到達年度末に達した(障害1級・2級の場合、20歳に達した)

 

【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資

【PR】J.P.Returns

おすすめポイント

・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる

老齢厚生年金

「老齢厚生年金」を受け取っている人が亡くなったときに、亡くなった人によって生計を維持されていた人がいる場合、「妻」「子」「夫」「父母」「孫」「祖父母」の順で最も優先順位の高い方が「遺族厚生年金」を受け取れます。
 
ただし亡くなった人に、保険料納付済期間・保険料免除期間・合算対象期間を合計した期間が25年以上あることが必要です。
 
受け取れる年金額は、亡くなった人の「老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3」です。「報酬比例部分」の額が不明な場合、日本年金機構から届いた「国民年金・厚生年金保険 年金決定通知書・支給額変更通知書」の「厚生年金」の表の「基本となる年金額」を報酬比例部分とみなし、これに0.75をかけて遺族厚生年金の年金額を概算できます。
 
遺族厚生年金の受給要件や支給額決定の仕組みは複雑です(遺族厚生年金と自分の老齢厚生年金の両方を受け取る権利がある人は、遺族厚生年金から自分の老齢厚生年金を引いた差額が遺族厚生年金の支給額となるなど)。不安な場合は最寄りの年金事務所、街角の年金相談センターにて相談が可能です。
 
受給期間は、原則として亡くなった月の翌月分から、以下などの失権事由のいずれかに該当するときまでです。
 

●受け取る人が死亡した
●受け取る人が結婚した(内縁関係を含む)
●子が受け取る場合、18歳到達年度末に達した(障害1級・2級の場合、20歳に達した)

 

中高齢寡婦加算

遺族厚生年金を次のいずれかに該当する「妻」が受け取る場合、40歳以上65歳未満の間、58万3400円が加算されます(中高齢寡婦加算)。
 

●夫が亡くなったときの「妻」は40歳以上65歳未満で、生計同一の子がいない場合
●40歳になったときに遺族基礎年金と遺族厚生年金を受け取っていた「子のある妻」が、子が18歳到達年度末に達した(障害1級・2級の場合、20歳に達した)ため、遺族基礎年金を受け取ることができなくなった場合

 

国民年金基金の老齢年金

「国民年金基金」から老齢年金を受け取っている人が亡くなったとき、「保証期間つきの終身年金型で保証期間がまだ終わっていない」分と「確定年金型」の分については、遺族年金はありませんが、残りの保証期間に応じた額の遺族一時金が給付されます。
 
受け取れる遺族は、亡くなったときに生計を同じくしていた人のうち「配偶者」「子」「父母」「孫」「祖父母」「兄弟姉妹」の優先順位です。
 
遺族一時金の額は、加入時年齢、死亡時年齢、どの型に何口加入していたかにより異なります。国民年金基金連合会のウェブサイトで、加入時年齢と年金の種類を選択すると遺族一時金概算表が表示されるので、参考にしてください。
 

各種企業年金の老齢年金

以前の勤務先の企業年金制度から老齢年金を受け取っている人が亡くなったとき、遺族年金が給付されるかどうかは制度の種類と規約により異なります。
 
制度の種類が「企業型確定拠出年金(企業型DC)」の場合、遺族年金はありませんが、年金資産の残額が死亡一時金として遺族に給付されます。受け取れる遺族は「配偶者」「子」「父母」「孫」「祖父母」「兄弟姉妹」で、事前指定もできます。
 
「厚生年金基金」「確定給付企業年金(DB)」の場合、「保証期間つきの終身年金で保証期間がまだ終わっていない」分と「確定年金」の分については、残りの保証期間の間に遺族年金が給付されるか、または一時金が給付されます。
 
企業年金の詳細は企業ごとに異なるため、以前の勤務先の企業年金制度から老齢年金を受け取っている人は、遺族給付について最新の規約をウェブサイトで参照するか、窓口に問い合わせておきましょう。
 

その他

「個人型確定拠出年金(個人型DC、iDeCo)」は上記の「企業型確定拠出年金(企業型DC)」と同じです。また、年金制度ではないものの、「中小企業退職金共済(中退共)」「勤労者財産形成年金貯蓄(財形年金)」、民間年金保険(個人年金保険)などから分割形式で受け取っている人は、遺族給付について窓口に確認しておきましょう。
 

まとめ

「老齢基礎年金(国民年金)」を受け取っている人が亡くなったときに子どもがいれば、生計を維持されていた配偶者(または子ども)は遺族基礎年金を受け取れます。
 
「老齢厚生年金」を受け取っている人が亡くなったとき、現役期の給与・賞与が亡くなった人よりも少ない配偶者がいれば、遺族厚生年金を受け取れる場合が多いでしょう。国民年金基金、各種の企業年金、その他を受け取っている人は、遺族給付について早めに調べておきましょう。
 

出典

日本年金機構 身近な方が亡くなったとき

国民年金基金 遺族一時金

厚生労働省 確定拠出年金制度の概要

企業年金連合会 遺族給付金

 
執筆者:福嶋淳裕
CMA、CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、1級DCプランナー

0
役に立った
役に立った
0
学びがある
学びがある
0
面白い
面白い
PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集