更新日: 2023.02.21 厚生年金

「年収780万」以上は年金的に「損」って本当? 理由を解説!

「年収780万」以上は年金的に「損」って本当? 理由を解説!
国民年金は年収に関わらず保険料が一律ですが、厚生年金は年収額に応じて保険料と支給年金額が異なります。そのため、厚生年金に加入している人は年収が多ければ多いほど、将来もらえる年金額も多くなるのです。
 
しかし、厚生年金の保険料には上限があります。ということは、将来もらえる年金額にも上限があるということです。
 
本記事では、厚生年金の上限額はいくらなのか、詳しく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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厚生年金の上限は月収65万円!

まずは厚生年金の保険料と支給年金額の仕組みについて解説します。
 
厚生年金の保険料は、標準報酬月額に応じて1級から32級まで分けられています。「標準報酬月額」とは、賞与を含めた毎月の月収額を、一定の幅で区分した額です。月収が9万3000円までの人は1級で標準報酬月額8万8000円、月収が29万円~31万円の人は20級で月額報酬30万円、といった具合です。月収が63万5000円以上の人は最上級である32級、標準報酬月額65万円となります。
 
厚生年金の保険料額は、この標準報酬月額に保険料率を掛けた金額になります。令和4年度の保険料率は18.3%なので、等級が1級の人であれば「8万8000円×18.3%」で1万6104円、等級20級の人は「30万円×18.3%」で5万4900円です。最上級である等級32の人は「65万円×18.3%」で11万8950円になります。
 
そのため、年収が780万円以上の人は、年収が1000万円であっても2000万円であっても保険料は11万8950円です。
 
なお、厚生年金の保険料は賞与にも掛かります。保険料率は同じく18.3%です。ただし、賞与にも上限があり、1回につき150万円、年間3回までとなっています。つまり、「450万円が上限」です。
 
「保険料に上限がある」ということは、当然、「年金支給額にも上限」があります。老齢厚生年金の大部分を占める報酬比例部分は、平成15年4月以降に厚生年金に加入した場合「加入期間全体の平均標準報酬月額×5.481÷1000×加入月数」です。
 
仮に加入期間全体の平均標準報酬月額が32級、加入月数が48年(576ヶ月)だった場合、報酬比例部分の金額は「65万円×5.481÷1000×576ヶ月」で205万2086円、月額17万1007円です。保険料と同じように、加入期間全体の平均年収が1000万円であっても2000万円であっても、加入期間が48年であれば、賞与がなかった場合の報酬比例部分の金額は月額17万1007円となります。
 
仮に、賞与を毎年上限の450万円もらっていた場合、その分の保険料は82万3500円です。賞与における報酬比例部分の計算式も同じですので、「(450万円÷12ヶ月)×5.481÷1000×576ヶ月」で年間118万3896円、月額9万8658円が賞与分の老齢厚生年金額です。
 
この金額に、令和4年度の老齢基礎年金(国民年金)の満額である6万4816円を足すと、合計は33万4481円です。
 

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年収780万円以上の人は老後の対策を考えよう!

このように、仮に現役時代の平均年収が1000万円、賞与も1000万円だったとしても、加入期間が38年であれば、65歳以降に受給できる老齢厚生年金額は毎月約27万円、老齢基礎年金満額を受け取ったとしても毎月34万円程度にしかなりません。
 
そのため、年収780万円以上の人はあらかじめ老後の生活について計画を立てておくことが大切です。収入額が半分近くまで減ってしまうことを考えると、老後の暮らしにおける支出を減らすことを考える必要があるでしょう。
 
「たくさん稼いでも年金が増えないのは損だ」と感じる人もいるかもしれませんが、その分、保険料も一定以上増えるわけではありません。老後も余裕を持った暮らしがしたいという人は、あらかじめ何らかの対策をとる必要があります。
 
例えば、iDeCoなどの確定拠出年金に貯金を回したり、NISAなどを活用して投資を始めたりすることで、自分で将来の年金収入を増やすようにしましょう。iDeCoやNISAは節税にもなるのでおすすめです。
 

将来の年金収入を自分で確保しよう!

老齢厚生年金の支給額には上限があります。年収が780万円以上の人は、年収が1000万円であっても2000万円であっても、加入期間が38年であれば、将来支給される年金額は最大でも34万円程度にしかなりません。
 
老後も暮らしのレベルを落としたくないという人は、公的年金に加えてiDeCoなどの確定拠出年金のような私的年金を活用したり、NISAのような投資を行ったりして収入を確保しましょう。
 

出典

日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和4年度版)
日本年金機構 厚生年金保険の保険料
日本年金機構 は行 報酬比例部分
日本年金機構 は行 平均標準報酬月額
日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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