更新日: 2023.02.18 その他年金
年金「15万円」は手取りだと実際いくら? 引かれる「税金・社会保険料」について解説
しかし、年金からも税金・社会保険料が引かれるということをご存じでしょうか。年金ねんきん定期便に記載されている金額がそのまま受給できると思っていると、いざ年金を受給しはじめたときに思っていたよりも少なくてがっかりしてしまうかもしれません。
本記事では、65歳で年金を月15万円受給した場合の実際の手取りについて解説します。
執筆者:柳沢俊宏()
年金からも税金・社会保険料が引かれる?
公的年金には、国民年金に加入していると受給できる老齢基礎年金と、厚生年金保険に加入していると受給できる老齢厚生年金の2つがあります。要件を満たすと、どちらかあるいは両方を受給できます。
ねんきん定期便で、おおよその金額を把握している人は多いかもしれません。このねんきん定期便に記載されている金額から次の税金・社会保険料が差し引かれ、残りが手取りとなります。
・所得税
・住民税
・介護保険料
・国民健康保険料(後期高齢者医療保険料)
【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資
【PR】J.P.Returns
おすすめポイント
・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる
実際の年金の手取りは?
次の場合の手取りをシミュレーションしてみます。
<例>67歳単身、扶養家族なし。毎月の年金受給額は額面15万円(年額180万円)で年金以外の収入はない場合。
※計算の都合上、社会保険料(介護保険料、国民健康保険料)から先に記載します。
介護保険料
65歳になると介護保険の第1号被保険者となります。介護保険料は年金を受給していても支払う必要があります。
また、介護保険料は一律ではなく、所得に応じて異なり、所得区分は各自治体が独自に決めているので、住んでいる自治体の介護保険料を確認してみましょう。東京都新宿区の介護保険料を例にとると、介護保険料は月額7040円、年額で約8万4500円になります。
国民健康保険料(後期高齢者医療保険料)
65歳以上75歳未満の場合、国民健康保険料が年金から引かれます。75歳になると、後期高齢者医療保険制度に移行し、後期高齢者医療保険料が引かれます。国民健康保険料には医療分・支援金分・介護分の3つがあり、これらの合計金額を支払うことになります(65歳以上は介護分の負担はありません)。
介護保険料と同様に、こちらも自治体ごとに保険料が異なりますので、住んでいる自治体の保険料を確認してみましょう。東京都新宿区の国民健康保険料は、1ヶ月あたり約6300円、年額で約7万5600円になります。
所得税
年金は雑所得として扱われ、所得税の対象となります。所得税の計算方法は次のようになります。
所得税=所得×約5%
所得=(年金額-公的年金等控除額)-48万円(基礎控除)-社会保険料-その他控除
年金額:180万円、公的年金等控除額:110万円、社会保険料:約16万円(介護保険料:約8万4500円+国民健康保険料:約7万5600円)なので、所得=(180万円-110万円)-48万円-16万円=6万円
所得税:6万円×5%=3000円となります。
住民税
住民税は所得に応じて課税される所得割と、所得にかかわらず定額である均等割があり、「所得割額+均等割額」で算出します。所得割の税率は一律10%、均等割は5000円です。住民税の所得は次のようになります。
所得=(180万円-公的年金等控除額)-43万円(基礎控除)-社会保険料-その他控除
=(180万円-110万円)-43万円-16万円=11万円
所得割:11万円×10%=1万1000円、均等割:5000円となり、住民税の合計は1万6000円になります。
年金の実際の手取り
年金月15万円の場合、1年間に支払う税金・社会保険料の合計は年間約17万9000円、1ヶ月あたり約1万5000円になります。ねんきん定期便で月15万円(年額180万円)と記載されていたとしても、実際の手取りは月約13万5000円(年額約162万円)となることがわかります。
まとめ
本記事では、ねんきん定期便に記載されている金額通りの年金を受給できるわけでなく、年金から税金や社会保険料が引かれること、月15万円受給する人の年金の手取りについて解説しました。
実際に年金を受け取るときに、「思っていたよりも少なかった」とならないよう、頭の片隅に入れておくようにしましょう。
出典
日本年金機構 Q.年金から差し引かれている税金の計算方法を教えてください。
国税庁 高齢者と税(年金と税)
新宿区 介護保険料の決まり方
新宿区 令和4年度 国民健康保険料 概算早見表(給与/年金のみの場合)
執筆者:齋藤彩
AFP