更新日: 2023.02.07 国民年金
公的年金の源泉徴収票には何が書いてあるの?
公的年金の源泉徴収票には何が書いてあるのでしょうか。給与所得の源泉徴収票と比べてみましょう。
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。
目次
「人」に関する控除が載っている
公的年金の源泉徴収票に「人」に関する控除が載っています。例えば、ご本人の控除の有無(特別障がい者もしくは障がい者やひとり親、または寡婦)についてです。
また、控除に該当する家族の有無(配偶者の有無と名前、該当する特定・老人・その他の扶養親族、16歳未満の扶養親族の人数や名前などが記されています)、控除の対象となる障がい者の人数(特別とその他)、非居住者の親族の人数の欄もあります。これらは、給与所得の源泉徴収票と同じです。
なお、公的年金の源泉徴収票における控除対象扶養親族の名前や、16歳未満扶養親族の名前を載せる欄はそれぞれ2名分となっており、個人番号の欄もありません。一方で、給与所得の源泉徴収票ではそれぞれ4名分となっていて、控除対象扶養親族は名前とともに個人番号の欄もあります。
要件に該当すると、公的年金から介護保険料、国民健康保険料(税)、後期高齢者医療制度の保険料が天引き(=特別徴収)されます。これら天引き額は、公的年金の源泉徴収票の社会保険料の欄、その合計額が載ります。
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公的年金の源泉徴収票に載っていない控除
公的年金の源泉徴収票は、生命保険控除や地震保険料控除、住宅借入金等特別控除の欄がありません。なお、要件に該当すると、公的年金から住民税も天引き(=特別徴収)されますが、公的年金から天引きされた住民税の額が源泉徴収票に載らないのは、給与所得の源泉徴収票も公的年金の源泉徴収票も同じです。
公的年金の源泉徴収票の「支払金額」
給与所得の源泉徴収票と同じく、公的年金の源泉徴収票にも「支払金額」と源泉所得税額の欄がありますが、それぞれ4行ずつ欄があります。4行の内訳は以下のとおりです。
1. 所得税法第203条の3第1号・第4号適用分
老齢基礎年金、老齢厚生年金、64歳までの特別支給の退職共済年金を受けている方の年金額
2. 所得税法第203条の3第2号・第5号適用分
65歳からの退職共済年金を受けている方の年金額
3. 所得税法第203条の3第3号・第6号適用分
退職年金(退職等年金給付)、経過的職域加算額(退職共済年金)を受けている方の年金額
4. 所得税法第203条の3第7号適用分
上記第1号~第6号に該当しない方の年金額(例えば確定給付企業年金など)
公的年金の源泉徴収票を受け取っても確定申告の必要がない場合も
以下のすべてに該当する場合、所得税および復興特別所得税の確定申告は必要ありません。
●公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下(複数から受給している場合は、その合計額)
●公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる
●「公的年金等に係る雑所得」以外の所得金額が20万円以下(「公的年金等に係る雑所得」以外の所得とは、個人年金や給与所得、生命保険の満期金などです)
しかし、「確定申告の必要がない人」に該当しても、例えば、生命保険料控除や地震保険料控除、医療費控除などを受けたい場合には、確定申告ができます。
公的年金を受け取っていても、源泉徴収票がない方も
障害年金や遺族年金は、非課税なので源泉徴収票は送付されません。つまり、公的年金の源泉徴収票が届くのは老齢または退職などの年金を受けている方だけとなります。障害年金や遺族年金から社会保険料が天引き(=特別徴収)されている方に関わる社会保険料額の納付証明に関しては、お住まいの市区役所や町村役場に確認しましょう。
出典
日本年金機構 源泉徴収票送付スケジュール
日本年金機構 令和4年分 公的年金等の源泉徴収票
日本年金機構 令和4年分 公的年金等の源泉徴収票
日本年金機構 年金からの特別徴収
国税庁 公的年金等を受給されている方へ
国税庁 給与所得の源泉徴収票
日本年金機構 障害年金や遺族年金を受けている人にも源泉徴収票は送付されるのでしょうか。
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役