更新日: 2023.02.01 厚生年金

フルタイムで働く前に理解しておきたい、厚生年金加入のメリット・デメリット

フルタイムで働く前に理解しておきたい、厚生年金加入のメリット・デメリット
扶養内でアルバイトやパートをしている方のなかには、そろそろフルタイムで働こうかと考えている方もいらっしゃるでしょう。
 
厚生年金に加入することで生じる保険料の負担に目が行きがちですが、厚生年金の加入にはメリットもあります。確認してみましょう。
正田きよ子

執筆者:正田きよ子(まさだ きよこ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者

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厚生年金とは

日本の公的年金制度は、20歳以上60歳未満のすべての方が加入する国民年金(基礎年金)と、会社員・公務員の方が加入する厚生年金保険の2階建て構造になっています。国民年金のみに加入している方は第1号被保険者、厚生年金に加入している方は第2号被保険者、第2号被保険者に扶養されている配偶者は第3号被保険者です。
 
扶養内でアルバイトやパートをしている方は第3号被保険者で、国民年金の加入者でありながら、年金保険料の自己負担はありません。配偶者の加入する制度で負担しているからです。
 
厚生年金に加入したとき、再び配偶者の扶養に戻るとき、どちらも配偶者の事業主への届け出が必要です。忘れずに行いましょう。
 

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厚生年金に加入すると保険料が発生する

厚生年金に加入すると保険料の負担が発生します。加えて、保険料や年金受給額が国民年金よりわかりにくく、この2つはデメリットとして捉えられることもあるでしょう。
 
国民年金は保険料が一律で、加入期間が年金受給額に関わります。厚生年金は保険料が給与や賞与に共通の保険料率をかけて計算されます。給与や賞与額にそのままかけるのではなく、標準報酬月額や標準賞与額を算出してからになります。
 
年金受給額の計算は複雑なので自分で計算し難いです。毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」で確認することや、「ねんきんネット」で試算することが必要です。「ねんきんネット」とは、インターネットで自分の年金情報を確認できる公的サービスです。
 

厚生年金加入のメリット

最大のメリットは、老後に受け取る年金額が増えることです。扶養内で働いていてずっと第3号被保険者であれば、老後に受け取れる年金は国民年金のみです。厚生年金に加入すると、老後は国民年金と厚生年金の両方を受け取れ、受給額が増えます。
 
年金は老後に受給する老齢年金だけではなく、遺族年金、障害年金もあります。基礎年金(国民年金)に厚生年金が加算され受給できます。障害の程度が比較的軽いとみなされる障害等級3級は、障害基礎年金はなく、障害厚生年金のみ受け取れます。
 
また、厚生年金の保険料は事業主との折半です。扶養内で働いていた第3号被保険者のときは年金保険料の自己負担なし、つまりゼロだったので、厚生年金保険料が実際の半分でも負担増には違いありません。
 
しかし、配偶者が退職して自分が60歳未満であると、第3号被保険者だった方は第1号被保険者となって60歳まで国民年金保険料を払うことになります。厚生年金に加入していたほうが保険料負担は小さく、保障も手厚い、という場合もあります。
 

どう働くのがお得か

フルタイムで働いて収入が増えると、厚生年金保険料だけではなく健康保険料や所得税、住民税の負担も増えます。配偶者は配偶者控除、配偶者特別控除が受けられるかで手取りが変わります。個人だけでなく世帯の手取り収入も考慮するとかなり複雑になってきます。今の手取り収入と将来の年金額のどちらを重視して働くか、悩ましい選択です。
 
働くと、収入が得られるだけではなく、自分の時間を使うことにもなります。経済的な損得だけでなく、「働きたいから働く」「自分がやりたいことをする」という思いも大切にして働き方を考えたいものです。
 
 
執筆者:正田きよ子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者

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