更新日: 2019.08.07 その他年金
低金利の現在、貯蓄性のある個人年金に入る価値はある? そのメリットは?
この「個人年金保険」で老後のお金を準備するのは、低金利の現在、ほんとうにメリットがあるのでしょうか?
執筆者:福島えみ子(ふくしま えみこ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
マネーディアセオリー株式会社 代表取締役
リュクスセオリーFPサロン 代表
大学卒業後、都市銀行に入行。複数の銀行、法律事務所勤務中に、人生の悩みは結局のところお金と密接に関係することを痛感、人生をより幸せで豊かにするお手伝いがしたいとファイナンシャルプランナーに。FP会社にて勤務後、独立。これまで500件以上の個人相談を担当すると共に、セミナー、執筆と幅広く活動。相続・資産運用・住宅相談・リタイヤメントプラン等を得意とし、個人相談にも力を入れる一方で、セミナーや企業研修、執筆を通じてわかりやすくお金の知識を発信することに注力している。
そもそも個人年金保険って?
個人年金保険は、一定期間に保険料を積立て、60歳などの年齢から積立てた額以上の年金を受け取る貯蓄性の高い保険商品です。保険料を一時払いとして一括で支払ってしまうタイプも個人年金保険です。
受け取り方により、あらかじめ決められた期間だけ受け取れる確定年金、生きているかぎりずっと受け取れる終身年金などがあります。各種年金共済も同様の商品です。
こうした個人年金保険は、加入したときの運用の利率が基本的にずっと適用されるものがほとんどです。そうなると、「このマイナス金利時代に個人年金保険に入っても、かえって不利では?低い運用の利率でずっと固定されてしまうんでしょう?」と考える人も多そうです。
まさにその通りです。マイナス金利が適用され、世の中の金利が下がっている昨今、いわゆる「お宝」と呼ばれるバブル時代等の高金利時代に加入した個人年金保険とでは、その差は歴然としています。
では、今、個人年金保険を利用するメリットは全くないのでしょうか?「個人年金保険なんてメリットなし!」と決めつけてしまう前に知っておきたいのが、「個人年金保険料控除」です。
【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資
【PR】J.P.Returns
おすすめポイント
・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる
税金が軽減できる「個人年金保険料控除」とは?
「個人年金保険料控除」は、税金の計算をする際に、払った個人年金保険の保険料に応じて一定金額を所得から控除できる制度です。
上記表のように、個人年金保険料控除はどれだけ保険料を払ったとしても、受けられる最大控除額は4万円です(旧契約の場合は5万円)。そうであれば、最大控除額を使うためには、年間8万円以上保険料を支払えばよいということになり、月額なら6,700円程度の保険料でこの要件を満たせます。
この控除を使うことで所得税と住民税が軽減されますが、注意したいのは、所得税率がその人の所得によって異なる点。税の軽減額も人それぞれです。例えば、控除額が4万円と同じでも、所得税率10%の人の年間の税軽減額は4,000円、所得税率20%の人なら8,000円です。同じ保険料を払っていても所得税率によってこれだけ効果が違います。
個人年金保険料控除で軽減される税金分を利回りとみなせばメリットも感じられますが、所得税額がそもそも少ない人や所得税率が低い人は、この控除によるメリットも少なくなるため、「自分の場合は?」を考えて利用したいところです。
では、金利があがってきたら個人年金に入ればいい?
このように、現在の低金利下では個人年金保険自体の貯蓄性にはさほど魅力が感じられません。「では、今入るより、将来金利が上がればそこで個人年金に入ったほうがトクでは?」そう思う人もいそうです。
しかし、それは必ずしも有利とはいえません。個人年金の保険料は、年齢が上がれば上がるほど高くなっていく特性があるからです。
しかも、同じ金額を老後に受け取ろうと思えば、積立期間が短くなるため、月々に積み立てる金額も大きくなりがちです。それよりも、金利はたとえ低くても個人年金保険料控除を使って毎年税金のメリットを得る方が、金利が上がるかもしれないという状況を待つより結局は有利になる人もいます。
ちなみに、マイナス金利導入以後、その影響を受けて販売停止や保険料が上がった個人年金保険も多く、有利な個人年金保険が減少している現状もあります。
個人年金保険自体の有利不利だけに着目するよりも、「自分の場合は?」を考えて、複数の手段を組み合わせて有効に老後資金を用意することをおすすめします。