夫婦で「月30万円」の年金を受け取るために必要な年収は?
配信日: 2022.12.19 更新日: 2025.06.19


日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。
老後の生活費は月26万円
総務省統計局が公表している「家計調査年報(家計収支編)」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の生活費の平均値は図表1の通りとなっています。
【図表1】
年齢 | 生活費(消費支出) |
---|---|
65~69歳 | 26万1123円 |
70~74歳 | 23万9704円 |
75歳以上 | 21万24円 |
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)Ⅱ総世帯及び単身世帯の家計収支を基に作成
年齢階級が上がるに連れて生活費は縮小していきますが、69歳までの世帯では月に約26万円という結果になっています。これを見ると年金が月30万円あったとしても、ぜいたくな暮らしができるわけではないことが分かります。
月30万円の年金をもらうための年収
それでは、月30万円の年金をもらうための年収を具体的に計算してみましょう。老齢厚生年金の受給額は次の算式で計算します。
平均標準報酬月額×5.481/1000×加入期間の月数
正確には「5.481」は平成15年4月以降の率であり、平成15年3月以前は「7.125」となっていますが、ここでは計算の便宜上「5.481」で統一して計算します。
また、加入期間の月数については22~60歳までの38年間、456ヶ月とします。
夫婦どちらかが専業主婦(夫)だった場合
専業主婦(夫)は老齢基礎年金のみになるため、月30万円の年金の行方は働いている方の年収にかかってくることになります。まず、夫婦の老齢基礎年金は満額で155万5600円(77万7800円×2)です。月30万円、年間360万円の年金をもらいたい場合の不足額は204万4400円ということになります。
では、この204万円を老齢厚生年金で賄うための年収を、上の算式に入れて逆算してみましょう。
平均標準報酬月額「81万7977円」×5.481/1000×加入期間の月数456ヶ月=204万4400円
平均標準報酬額81万7977円×12ヶ月=年収981万5724円
働いている方は、年収1000万円弱を38年間続けなければならないという計算になりました。
夫婦共働きだった場合
夫婦共働きで2人で厚生年金を払ってきた場合には、年収1000万円弱を38年間協力して稼げば良いということになります。例えば次のような組み合わせです。
・夫:500万円 妻500万円
・夫:600万円 妻400万円
・夫:300万円 妻700万円
夫婦が正社員で共働きであれば、月30万円という年金は十分に到達できる金額と言えるでしょう。
社会保険の加入はメリットもある
共働きの形として、夫婦のいずれかは社会保険の扶養内で働く方法があります。「年収130万円の壁」と呼ばれ、多くの人が気にしながら働いていることでしょう。
たしかに、社会保険に加入すると給与の天引きが増えて手取りが減ることになりますが、厚生年金保険料は自身が将来に受け取れる年金を支払っているのです。目先の手取り額だけではなく、少し遠くを見てみるのも必要です。
まとめ
今回の計算例では、夫婦合わせて月30万円の年金を受け取るためには、年収1000万円弱を38年間続けなければならない結果となりました。
片働きの世帯だと、限られた会社員が到達できる世界なのではないでしょうか。年金面からのみ考えると、どちらも社会保険に加入する夫婦共働きをおすすめします。
出典
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)Ⅱ総世帯及び単身世帯の家計収支
日本年金機構 は行 報酬比例部分
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部