更新日: 2019.01.11 iDeCo(確定拠出年金)
家計に地味に響く認可保育園の保育料がiDeCoで安くなるって本当?
認可保育園の保育料は、認可外保育園に比べると低く設定されていますが、それでも決して安いわけではありません。家計への影響は大きいものです。
もし、保育料決定通知書を見て「高い」と感じたのであれば、iDeCoを始めることで、認可保育園の保育料を安くすることができるかもしれません。
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Text:前田菜緒(まえだ なお)
FPオフィス And Asset 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP、2019年FP協会広報スタッフ
保険代理店勤務を経て独立。資産運用と保険に強いファイナンシャル・プランナーとして、子育て世代向けに相談やセミナーを行っている。全国どこからでも受講可能なオンラインセミナーを毎月開催。自宅で学べる手軽さと講座内容のわかりやすさが好評。子どもが寝てからでも参加できるよう、セミナーや相談は夜も行っている。
保育料算定の計算式とは
認可保育園の保育料は、市区町村によって金額が異なりますが、保育料を計算する計算式は全国どこでも同じです。
保育料は世帯あたりの住民税によって決定されます。住民税は、市町村民税と都道府県民税から成りますが、保育料に関係するのは市町村民税のほうです。正確には、市町村民税の所得割額によって決定されます。
所得割額とは、所得金額から所得控除という項目を差し引いて税率をかけて求めます。
簡易的な計算式は
市町村民税の所得割額=(所得金額−所得控除)×税率6%
なお、4~8月分は、前年度の所得割額で保育料を算定し、9~3月分は、その年度の所得割額で保育料を算定します。保育料は、所得割額が大きくなると高くなり、所得割額が小さくなると安くなるという仕組みです。
さて、上記の計算式より所得割額を小さくするには、所得控除の額を大きくすればよいことがわかります。iDeCoは掛け金全額が所得控除できますから、iDeCoをはじめることで掛け金全額を所得控除に加算することができます。
つまり、iDeCoをすることで所得割額が小さくなり、保育料が安くなるという結果を導くことができるのです。
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iDeCoでどれだけ安くなるのか
では、シミュレーションしていましょう。下記の表は東京で一番人口が多い世田谷区の保育料表(世田谷区HPより)です。
例えば、所得割額が26万円世帯(青枠部分)の夫婦がiDeCoで毎月それぞれ20,000円を積立始めたとしましょう。
積立額全額が所得控除できますから、所得控除額は20,000円×2人分×12カ月= 480,000円
所得割額の減額分は、所得控除額に税率6%をかけることで求めることができます。480,000円×6%=28,800円
よって、所得割額は260,000円−28,800円=231,200円
所得割額が260,000円から231,200円に減ったので、保育料額表を見ると赤枠部分になりました。
3歳児未満の場合、青枠の保育料は40,800円です。赤枠の保育料は35,700円ですから、1カ月当たり5,100円、年間61,200円安くなることがわかりました。このように、iDeCoを始めると、所得税・住民税はもちろんのこと、保育料も安くなるかもしれません。
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上記の例に当てはまらないケースもある
今回は夫婦2人がiDeCoに加入できる前提で計算をしましたが、勤務先の状況によっては、iDeCoの掛け金の上限が12,000円の場合もありますし、加入できない場合もあります。
その場合は保育料の減額効果はない、あるいは少なくなるでしょう。
また、東京の場合は保育料表の階層が細かく分かれているため、iDeCoをすることで保育料を減額させることができましたが、地方ではこれほど階層が細分化されていないようです。
細分化されていなければ、階層を変更させることは難しいので、iDeCoを夫婦2人で始めたとしても保育料に影響を与える可能性は低くなります。
このように全国どこでも当てはまるわけではありませんが、住まいの市区町村の保育料表を見て細分化されていれば、iDeCoで自分年金を作りながら保育料も下げられ、一石二鳥となるかもしれません。
Text:前田 菜緒(まえだ なお)
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP(R)認定者