更新日: 2021.05.07 その他年金

「年の差婚」の場合に、知っておきたい年金の注意点とは?

「年の差婚」の場合に、知っておきたい年金の注意点とは?
10歳や20歳と夫婦に大きな年齢差がある場合、同世代同士の夫婦に比べて将来の生活や年金についての関心は一層高いのではないでしょうか。
 
そこで、今回は年の差婚の夫婦に知ってほしい年金の注意点についてまとめました。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

配偶者の定年により年金の扶養から外れることがある

厚生年金に加入している方は国民年金にも加入しており、その方の配偶者として扶養に入ると、国民年金第3号被保険者に該当します。
 
実はこの第3号被保険者である期間は、保険料を自身で支払わずとも保険料を支払っているものとして取り扱われます。これは、第3号被保険者の保険料分は配偶者の方が加入している年金制度が本人に代わって負担しているためです。
 
例えば、会社員の夫と結婚して専業主婦となった妻に当たる方が、これに該当します。この場合、夫が加入している厚生年金が専業主婦である妻の分も年金保険料を負担しているため、妻の負担は発生しないという具合です。
 
しかし、これが続くのは夫が厚生年金に加入している間です。夫が定年で退職したり、再雇用で働いても厚生年金に加入しないような場合、妻は第3号被保険者であるための条件を満たさず、国民年金第1号被保険者に切り替わるため、年金保険料の負担が発生します。
 
夫が60歳で定年退職、妻が50歳で専業主婦という年の差夫婦の事例で考えてみましょう。国民年金は原則60歳まで保険料の支払いが必要であるため、妻は50歳時点で残り10年、保険料の支払いが残っています。
 
この場合、妻は60歳になるまでの10年間は、国民年金第1号被保険者として年金保険料を払わなければならないことになります。ただ、夫婦共働きであり、おのおの自身で厚生年金に加入している場合はこのケースには該当しません。
 

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65歳以降は配偶者の年金の扶養に入れない

先に述べたとおり、年金において配偶者の扶養に入り、第3号被保険者となるにはその配偶者が厚生年金の加入者であることが必要なのですが、実はこれに加えてさらに一定の要件が求められます。
 
具体的には、国民年金の第3号被保険者となるには厚生年金に加入している配偶者の年齢が65歳未満であること、または70歳未満で老齢基礎年金の受給資格を満たしていないことが必要とされます。
 
先の例でいえば、仮に夫が65歳を超えて再就職や再雇用などで働き続けても、老齢基礎年金の受給資格を満たしていないという限定的な場合でない限り、妻は年金上の扶養から外れ、国民年金第3号被保険者ではなく国民年金第1号被保険者として保険料を納めていくことになります。
 

加給年金と振替加算のもらい漏れ

厚生年金に原則20年以上加入している方が65歳到達時(65歳以降に20年に達する場合は退職改定時)、その方に生計を維持されている一定の条件に該当する配偶者や子がいる場合に受け取れる年金に加給年金があります。
 
例えば夫が20年以上、厚生年金に加入してれば、夫が65歳になったときに妻が年下であれば、その妻が65歳に達するまでは加給年金が受け取れるというものです。
 
また、このケースで妻が65歳になると、それまで支給されていた加給年金は支給が停止される代わりに、一定の要件を満たした場合は妻の受け取る老齢基礎年金に振替加算という年金が支給されます。
 
加給年金も振替加算どちらも受給するには手続きが必要です。この2つの年金は手続きがされていないことで、もらい忘れが多い年金でもあります。
 

年の差婚は年金についても要確認

夫婦の年齢が大きく離れる年の差婚において考えておきたいのが、年金の問題です。夫婦で理想のライフプランを実現させるために、早い段階から将来の年金についても考えておくことが大切です。
 
しかし、ライフプランや年金に関することを夫婦だけで決めていくのは難易度が高いものになります。年の差婚をした夫婦が将来や年金、お金に関することを相談したい際は、ぜひファイナンシャルプランナーを頼ってみてください。
 
出典
日本年金機構 第2号被保険者
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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