公開日: 2019.12.18 年金

「繰り下げ請求で年金支給額を増やす」のは良いの?悪いの?

「年金の支給額に関して、本来ならば65歳から受給できるところを、最大70歳まで申請しなければ、その後の受取額が生涯にわたって増える」というメリットについて書かれたものをよく見かけます。
 
逆に65歳から、あるいは繰り上げ請求といって、それ以前に受け取るとあまり良いことがないような気になりますが、一概にはいえません。
 
柴沼直美

執筆者:

執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

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柴沼直美

執筆者:

執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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支給開始年齢を65歳から70歳にすると最大42%増!は魅力的だが

年金の支給開始年齢は通常65歳ですが、65歳の誕生日になったら自動的に振り込まれるわけではなく、「裁定請求」をしなければなりません。言い換えれば、裁定請求をしないで66歳からと1年先延ばしにすれば、0.7%×12=8.4%上乗せされた金額が生涯にわたり受け取ることができる仕組みです(1ヶ月の先延ばしで0.7%増)。
 
2年先延ばしで0.7%×24=16.8%、3年で0.7%×36=25.2%、4年ならば33.6%、70歳まで延ばせば42%それぞれ増額になります。
 
これだけを見れば「繰り下げをすれば良いじゃないか」と思いがちですが、年金額がそれぞれの状況で違うように、どのタイミングで支給開始するのが一番良いのかは、受給者となる皆さまが一番よくご存じのはずです。
 

一度支給を受けてからの「お預け」に耐えられるか?

ある女性の方は、昭和38年生まれでかつ企業に勤務して厚生年金保険料を納めていたことがあるので、63歳から「特別支給の厚生年金」を受け取ることができます。これについては繰り下げできません。
 
ということは、63歳から年金を受け取ることができるわけで、その額が年額で48万円だったとします。月額換算で4万円となります。
 
それでも4万円、受給できるといううまみを一度味わった後、65歳になって本来の老齢年金を受給できるようになったときになってから「支給繰り下げ、すなわち最大70歳まで先延ばしにして42%増を狙う」と計画どおりできるでしょうか?
 
65歳からは体力的に減退していきますから、一概に支給を繰り下げる「がまん」ができるとはいえないものです(厳密には老齢基礎年金と老齢厚生年金については同時に繰り下げの申し出をする必要はなく、それぞれ支給開始を希望する時期に、手続きを行います)。
 
ご本人の健康状態や財産状態で大きく左右されるわけで、機械的に割り切れるものではありません。
 

裁定請求したくなるタイミングは、日々変わる

前述のように、裁定請求するタイミングは日々変わります。したがってどこがベストタイミングかというと、皆さまが「裁定請求しよう(支給開始しよう)」と思ったときです。
 
当然長生きすれば、繰り下げしたほうが最大42%増の受給額がずっと続くわけですから、多くなるのは当たり前ですが、「自分は健康で長生きする」と思っていても、ぽっくり亡くなる、あるいは突然体調が崩れるとことは誰にでも起こりうること。逆に繰り上げ請求して、減額された金額になったとしても、いったん枠を設定されてしまえばその前提で家計運営を図っていくものです。
 
他人の意見や横やりを参考にするのは良いのですが、そのことで右往左往するのは時間の無駄です。
 
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者

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