更新日: 2019.06.12 その他年金

10月から開始!年金生活者支援給付金制度(3) 障害・遺族年金受給者のための支援給付金

執筆者 : 井内義典

10月から開始!年金生活者支援給付金制度(3) 障害・遺族年金受給者のための支援給付金
65歳以上で老齢基礎年金を受ける場合だけでなく、障害基礎年金や遺族基礎年金を受ける場合の支援給付金制度もあります。障害年金生活者支援給付金や遺族年金生活者支援給付金はどのような要件で、どのように計算されるのでしょうか。
 
井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

1982年生まれ。株式会社よこはまライフプランニング代表取締役。

資格学校勤務時代には教材編集等の制作業務や学習相談業務に従事し、個人開業の社会保険労務士・FPとしては公的年金に関する研修講師を務め、また、公的年金の相談業務も経験してきている。

これらの経験を活かして、専門誌で年金に関する執筆を行っている。2018年に、年金やライフプランに関する相談・提案、教育研修、制作、調査研究の各事業を行うための株式会社よこはまライフプランニングを設立、横浜を中心に首都圏で活動中。日本年金学会会員、日本FP学会準会員。

障害年金生活者支援給付金の対象となる人

障害年金生活者支援給付金は、国民年金制度の障害基礎年金を受給している人が対象です。
 
障害基礎年金の障害等級は、障害の重いほうから1級、2級となっています。厚生年金保険制度からの障害厚生年金は1級、2級の他、2級より軽い3級がありますが、3級で障害厚生年金のみを受給している人は支援給付金の対象になりません。
 
また、所得要件があり、前年の本人の所得が4,621,000円以下(扶養親族なしの場合)であることが条件です。本人の所得のみで、老齢年金生活者支援給付金のような世帯での所得要件はありません。
 
また、障害基礎年金自体は非課税であるため、この所得の中には含まれません。障害基礎年金を受給していることと所得要件を満たしていれば、年齢に関係なく、支援給付金が受給できることになります。
 

障害年金生活者支援給付金の額

障害等級2級の場合、障害基礎年金は780,100円(2019年度年額)となりますが、これに加算される障害年金生活者支援給付金の額は月額5,000円(年額換算で60,000円)です。年額換算で合計すると840,100円となるでしょう。
 
一方、2級より障害が重い障害等級1級の場合、障害基礎年金は975,125円(2019年度年額)となりますが、1級の人の障害年金生活者支援給付金は月額6,250円(年額換算で75,000円)となり、年額換算の合計で1,050,125円となります(【図表1】)。
 

 

遺族年金生活者支援給付金の対象となる人

遺族年金生活者支援給付金の対象となる人は、国民年金制度の遺族基礎年金を受給している人となります。遺族基礎年金の受給は、亡くなった人に18歳年度末までの子(一定の障害がある場合は20歳未満の子)がいることが条件ですので、こういった子がいる家庭が支援給付金の対象になります。
 
支援給付金の受給には、受給する本人の所得要件もあり、障害年金生活者支援給付金と同様の要件(扶養親族なしの場合、前年の所得が4,621,000円以下)となっています。遺族基礎年金自体は非課税で、この所得の中には含まれません。
 

遺族年金生活者支援給付金の額

遺族年金生活者支援給付金は、月額5,000円(年額換算で60,000円)になります。つまり、障害等級2級の障害年金生活者支援給付金と同じ額となります。
 
亡くなった人に配偶者と子が1人いた場合であれば、配偶者が遺族基礎年金を受給することになり、その額は780,100円+224,500円で1,004,600円(2019年度の年額)となりますが、支援給付金を加えると、年額換算の合計で1,064,600円になります(【図表2】)。
 

 
障害年金生活者支援給付金も遺族年金生活者支援給付金も、毎年度その額が改定されることになりますが、以上のように、老齢年金生活者支援給付金と異なる所得要件で、定額で支給されることになるでしょう。
 
※2019/05/15 タイトルを一部修正させていただきました
 
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
 

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