更新日: 2019.06.12 その他年金
10月から開始!年金生活者支援給付金制度(2) 所得基準額を超えても給付金がある?
世帯単位での所得要件もあり、所得基準額(779,300円)以下であれば支給されることになりましたが、これを1円でも超えてしまった場合は、支援給付金は全く支給されないことになるのでしょうか。
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
1982年生まれ。株式会社よこはまライフプランニング代表取締役。
資格学校勤務時代には教材編集等の制作業務や学習相談業務に従事し、個人開業の社会保険労務士・FPとしては公的年金に関する研修講師を務め、また、公的年金の相談業務も経験してきている。
これらの経験を活かして、専門誌で年金に関する執筆を行っている。2018年に、年金やライフプランに関する相談・提案、教育研修、制作、調査研究の各事業を行うための株式会社よこはまライフプランニングを設立、横浜を中心に首都圏で活動中。日本年金学会会員、日本FP学会準会員。
受給合計額で逆転しないように-補足的老齢年金生活者支援給付金-
老齢年金生活者支援給付金は、前回述べた通り、世帯単位での所得要件があり、さらに779,300円(2017年度や2018年度の満額の老齢基礎年金に相当)という所得基準額を超えるかどうかで支給されるかが決まります。
所得基準額以下であれば、保険料の納付状況に応じて支給され、1円でも超えると支給されないことになります。
しかし、このままでは1円でも所得基準額を超えて支援給付金を受けられない人の受給額より、所得基準額以下で年金と併せて支援給付金が支給された人の受給額が多くなることが起こります。
そのため、所得基準額以下の人の受給額が、所得基準額を超えている人の受給額を超えてしまわないように、一定の所得基準額を超えた人に補足的老齢年金生活者支援給付金を支給することになっています。
補足的老齢年金生活者支援給付金は、前年の年金収入と所得について、老齢年金生活者支援給付金の所得基準額779,300円に10万円を足した879,300円以下の人が対象となります。
つまり、「779,300円超879,300円以下」の人となります。879,300円を超える場合は支給されません。なお、世帯全員の市町村民税が非課税であるという条件は老齢年金生活者支援給付金の場合と同じです。
【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資
【PR】J.P.Returns
おすすめポイント
・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる
補足的老齢年金生活者支援給付金の計算方法
補足的老齢年金生活者支援給付金は【図表1】のとおり計算します。保険料を納付した期間で計算し、老齢年金生活者支援給付金と異なって、保険料の免除を受けた期間は計算から除外されます。
例えば、保険料を納付した期間が432月、保険料免除を受けた期間(2009年4月以降の期間)が48月で、前年(2018年)の老齢基礎年金が740,335円(779,300円×(432月+48月×1/2)/480月で計算)、他に老齢基礎年金に上乗せされる付加年金が50,000円(付加保険料納付月数250月×200円で計算)があった場合、年金収入としては合計790,335円になります。
他の所得がなければ、779,300円は超え、879,300円以下となりますので、この場合、5,000円×432月/480月×(879,300円-790,335円)/10万円=月額4,003円の補足的老齢年金生活者支援給付金が支給されることになります。年額換算では48,036円になります。
今年度の年金額は741,095円(2019年度満額780,100円×(432月+48月×1/2)/480月で計算)+50,000円(250月×200円)=791,095円で、補足的支援給付金が年間換算で48,036円、合計では839,131円になる計算です。
このように779,300円という所得基準額を少し超えていた場合も、何も支給されないわけではなく、補足的な給付金が支給されることになり、779,300円の所得基準額以下の人より合計で多くなるでしょう(【図表2】)。
※2019/05/15 タイトルを一部修正させていただきました
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー