更新日: 2019.06.19 その他年金

夫婦が離婚すると年金はどうなる? (3)‐年金分割が反映された年金を受け取るために必要なこと‐

夫婦が離婚すると年金はどうなる? (3)‐年金分割が反映された年金を受け取るために必要なこと‐
離婚時の年金分割について、前回は、合意分割と3号分割の2つの制度があり、手続きが必要であることについて取り上げました。実際に年金分割の手続きをし、分割を受けた場合、分割が反映された年金を受けるにはどのようにすれば良いのでしょうか。
 

井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

1982年生まれ。株式会社よこはまライフプランニング代表取締役。

資格学校勤務時代には教材編集等の制作業務や学習相談業務に従事し、個人開業の社会保険労務士・FPとしては公的年金に関する研修講師を務め、また、公的年金の相談業務も経験してきている。

これらの経験を活かして、専門誌で年金に関する執筆を行っている。2018年に、年金やライフプランに関する相談・提案、教育研修、制作、調査研究の各事業を行うための株式会社よこはまライフプランニングを設立、横浜を中心に首都圏で活動中。日本年金学会会員、日本FP学会準会員。

若い時に離婚した場合は実際の年金受給はまだ先の話に

特別支給の老齢厚生年金(60歳台前半の老齢厚生年金)は、生年月日次第で60歳台前半から受けられ、老齢厚生年金は65歳から受けられることとなっています。
 
合意分割、3号分割といった年金分割の手続きをしても、まだ年金を受け取る年齢になっていない場合は、分割が反映された実際の年金の受け取りはまだ先の話となります。年金分割の手続きをして、すぐに何かが起きるわけではないということになるでしょう。
 
しかし、将来、老齢年金を受けるためには、それまでに受給資格期間を満たしている必要があります。
 

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自分で受給資格を満たさないと将来年金がもらえない

老齢年金の受給には、保険料を納付した月、免除を受けた月等の受給資格期間が合計120月以上必要となっています。
 
20歳から60歳までに、第1号被保険者として保険料を納付した期間や免除を受けた期間、第2号被保険者として厚生年金に加入していた期間、被扶養配偶者として第3号被保険者だった期間は受給資格期間に算入されることになり、これらの期間などが合計120月以上あれば、受給資格を満たしたことになります。
 
離婚時の年金分割により、分割を受けた部分は年金額の計算の基礎とされますが、受給資格期間は自身で満たさなければならないことになります。第1号被保険者期間で保険料が未納だった場合は、その期間の受給資格期間は0月と計算されます。
 
自分自身の加入期間で必要な受給資格期間120月を満たしていないと、分割を受けていても老齢年金は受給できません(【図表1】)。
 

 

60歳台前半で年金を受けるには自身で1年以上の厚生年金加入が必要

また、合計120月以上の受給資格期間を満たしていても、その中に自身の厚生年金加入期間が12月以上ない場合、60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金については、たとえ分割の対象となった期間が12月以上あったとしても受け取れません。
 
12月足りない場合、分割が反映された年金は65歳からの受給となります(【図表2】)。
 

 
したがって、年金分割の手続きをして分割を受けたからと言って、それだけで分割が反映された年金が受け取れることが決まったわけではないという点を覚えておき、将来に備えて、自身の加入状況を確認し、必要な受給資格期間は満たしておく必要があるでしょう。
 
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
 

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