更新日: 2019.06.28 その他年金
夫婦が離婚すると年金はどうなる? (2)‐年金分割の2つの制度とは?‐
夫婦のうち一方が厚生年金に加入して他方が扶養に入っているか、婚姻期間と年金の加入期間が平成20年4月以降かそれより前か、によりどちらの制度の対象になるかも変わってきます。
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
1982年生まれ。株式会社よこはまライフプランニング代表取締役。
資格学校勤務時代には教材編集等の制作業務や学習相談業務に従事し、個人開業の社会保険労務士・FPとしては公的年金に関する研修講師を務め、また、公的年金の相談業務も経験してきている。
これらの経験を活かして、専門誌で年金に関する執筆を行っている。2018年に、年金やライフプランに関する相談・提案、教育研修、制作、調査研究の各事業を行うための株式会社よこはまライフプランニングを設立、横浜を中心に首都圏で活動中。日本年金学会会員、日本FP学会準会員。
夫婦の合意で分割する合意分割制度
離婚時の年金分割には「合意分割」(平成19年4月より実施)と「3号分割」(平成20年4月より実施)があり、どちらの制度の対象になるかについては【図表1】のとおりとなります。
まず、夫婦ともに厚生年金被保険者(共働き)だった期間については合意分割で分割します。
合意分割とは、その名のとおり、離婚した夫と妻の両者の合意により分割する制度で、平成19年4月に始まった制度ですが、それより前の婚姻期間も分割の対象期間になります。夫婦合わせた標準報酬の合計を、当事者間の合意に基づき、最大で50%ずつで按分を行うことになります。
夫が80%、妻が20%だった場合、分割後は夫も50%、妻も50%ずつまで分割できることになり、前回述べた通り、妻は50%を超えて分割は受けられません。もし、離婚した夫婦で合意ができない場合は、家庭裁判所の審判等で、最大で50%ずつになるよう、分割割合が決まることになります。
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扶養されていた期間がある場合の3号分割制度
夫婦のうち、一方が会社員(厚生年金被保険者)で、他方がその被扶養配偶者として国民年金第3号被保険者となっていた場合は、平成20年4月以降かそれより前かで異なります。
平成20年4月以降に第3号被保険者期間がある場合は「3号分割」の対象になります。
第3号被保険者は厚生年金には加入しておりませんので、当然その間の標準報酬は0円になりますが、厚生年金被保険者(同時に国民年金第2号被保険者)である配偶者の標準報酬の50%が分割されることになります。
3号分割については、手続きをすれば強制的に50%ずつに分割されることになり、合意分割のように離婚した夫婦の合意は必要ありません。
一方、平成20年3月以前の第3号被保険者期間がある場合については、当該期間は3号分割にはなりません。その期間はあくまで合意分割を行うことになり、合意があれば最大50%分割することができます。
再度、まとめると【図表2】のようになります。このように、2つの制度に違いがあることが年金分割の大きな特徴となるでしょう。
年金分割の請求には期限がある
年金分割のためには、夫婦の離婚後に年金事務所等で請求手続きが必要で、請求期限があります。原則として、離婚後2年以内に請求する必要があり、期限を超えると分割ができないことになります。
なお、2年以内であっても、分割手続き前に離婚した当事者の一方が亡くなった場合は、亡くなってから1か月以内に請求をしなければなりません。もし、離婚した場合に年金分割する場合は、手続きがあることを覚えておく必要があるでしょう。
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー