更新日: 2019.06.28 iDeCo(確定拠出年金)

これからiDeCoをはじめる人に知っておいてほしいポイント

これからiDeCoをはじめる人に知っておいてほしいポイント
iDeCoとは、個人型の確定拠出年金の事です。自分で掛け金を出し、自分で運用先を決め、それをもとに60歳以降に受け取れる自分で年金を作る制度です。払う掛金は全額控除、運用で利益がでても非課税、受取の際も退職金控除が使えるなど税制の優遇はとても魅力的です。
 
60歳までは途中で受取れないというルールはありますが、逆にこのルールのためにしっかり続けられる貯蓄の仕組みをつくることができるのではないでしょうか。iDeCoの現状をみてみると、加入者は右肩上がりに増えています。
 
平成29年1月より公務員や私学共済加入者、主婦なども加入対象になり、加入者は平成30年8月時点で100万人を突破し、平成30年10月時点には109.2万人になっています(会社での制度としての企業型確定拠出年金は平成30年10月時点で689.5万人)。
 
筆者はiDeCoを始める方のサポートをしていますが、多くの方が戸惑ったり、面倒に感じたり、難しいと感じたりしている点をまとめてみました。これからiDeCoを始めようとしている方の参考になれば嬉しいです。手続きの順番で見ていきましょう
 

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田中栄二

執筆者:田中栄二(たなか えいじ)

AFP認定者 

2級DCプランナー
確定拠出年金相談ねっと 認定FP
福岡でのテニスコーチ業で、個々に適した伝え方や問題解決の基礎を学ぶ。その後「保険業は困ったときにこそ必ず人の役に立てる」と誘われ保険代理店の道へ。複数の保険会社・証券会社を取扱う会社に所属し、保障から資産運用までサポートしている。20年の保険業務と15年の証券業務の経験を持つ。「幸せな楽しい老後を送るための資金準備をしませんか?」の思いを伝えるべく確定拠出年金を活用した老後資金作りの相談やサポート業務、資産形成セミナーも行っている。

金融機関を選ぶ

iDeCoを始めるには、取り扱っている金融機関を選ぶことが最初のステップになります。どこで始めるかを決めなければスタートできないわけです。
 
取扱い金融機関には、証券会社、都市銀行、地方銀行、労働金庫、信用金庫、生命保険会社、損害保険会社など様々です。選ぶ金融機関は1社のみです。では何をポイントに金融機関を選んだらよいのでしょう。
 
●手数料はいくらかかる?
まず、毎月167円(国民年金基金連合会103円、事務委託先金融機関64円)は必ずかかります。それ以外に、金融機関に払う手数料が無料から400円を超すところもあります。金融機関で「手数料0円」の広告を見かけますが、金融機関の手数料がかからないということで167円は別途かかります。
 
例えば、掛金の最低金額である毎月5,000円で始める方が、手数料が300円かかる金融機関でiDeCoをはじめたとします。手数料の割合が掛金に対しての手数料が6%(167円も計算にいれると9.3%)と大きくなってしまいます。掛金が少ない方ほど手数料は重要視したいところですね。
 
●サイト、資料、コールセンターは充実しているか?
WEBサイトはチェックしておきたいポイントです。最近は各社スマホ向けのページも充実していますので、スマホで確認するのもいいかと思います。現在口座を持っているなど、よく利用している金融機関のサイトをチェックしてみるのもいいでしょう。
 
また、金融機関の候補があれば資料を請求してみましょう。複数社に請求すると比較がしやすいですよ。分からないことがあれば各社コールセンターに連絡してみましょう。
 
●運用商品のラインナップが揃っているか?
選びたい商品は揃っているか、分散できる商品はあるか、信託報酬(運用商品にかかるコスト)が低いものはあるか、実績のある商品があるかなど、ポイントになることは多々あります。
 
ただ、このような情報は他の金融機関と比較をしてみないとよく分からないことが多いのです。そこで参考になるのがiDeCoの情報を提供しているサイトです。
 
iDeCoナビモーニングスターの「個人型確定拠出年金ガイド」の比較サイトは、手数料や商品の比較一覧があるのでとても参考になります。
 
自分で調べるのが難しい方は、金融機関やFP(ファイナンシャルプランナー)主催のiDeCoセミナーや個別相談を積極的に受けてiDeCoについて知識を深め、アドバイスを受ける方法もあります。
 
気になっている金融機関があれば、ぜひその金融機関主催のセミナーに参加してみてはいかがでしょうか。無料で受けられるセミナーも多いようです。
 
FP主催のセミナーは、有料のものもありますが金融機関に所属していない中立の立場の方が多いので、どこの金融機関を選んでよいか迷っている方は参考になるかと思います。
 
注意点として……iDeCoを始めた後に金融機関を変更することはできますが、あまりおすすめできません。なぜなら変更する際は、現在保有の商品を一旦売却して現金化し、別の金融機関に移換することになります。
 
数ヶ月の時間もかかりますし、その間に最悪の場合は上昇の機会を失うことになります。何もしなければ上がっていたのにということにもなりかねないのです。始める金融機関は、最初にしっかり調べて決めましょう。
 

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勤務先に書いてもらう書類がある

ここは、会社員・公務員・私学教職員(第2号被保険者)限定のお話になります。iDeCo申込の際に、勤務先に記入捺印してもらう書類があります。
 
国民年金基金連合会「事業所登録申請書 兼 第2号加入者に係る事業主の証明書」
 
「個人のことなのに会社に記入してもらわないといけないの?」という声をしばしば耳にしますが、上記の方々がiDeCoを始める際にこの書類が必要となりますので、会社に内緒でこそっと進めることはできません。
 
この書類の中で証明してもらうこととして、他の企業年金制度への加入状況や共済組合員の資格の有無等があります。それにより12,000円、23,000円のなどの掛金の限度額に違いがあります。
 
希望する掛金額がそれぞれの限度額を超えていないかどうか確認するために、証明書が必要なのです。
 

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運用商品を選ぶ

「運用商品のどれを選べばいいか?」はよく受ける質問です。投資初心者としては難しいと感じるところかもしれません。
 
ただ、申込をしてから実際に運用商品を選ぶまでに約1~2カ月はかかります。申込と同時に運用商品の配分を決める必要はありませんし、ゆっくり考える時間もあります。
 
また、選んだ商品の配分はいつでも変更できますし、運用しながら徐々に自分の考えを固めていってもいいのです。あまり最初から考えすぎないでゆっくりと進めましょう。
 
運用商品には、大きく分けて元本確保型と投資信託の2つがあります。元本確保型はその名の通り、元本が確保されている商品で定期預金や保険商品などがあります。どうしても最初に商品を決められない方は、まずはリスクの少ない元本確保型でもいいと思います。
 
ただ、現在は金利が低く、金利よりもコスト(毎月最低167円)が高くなり、資産が減ってしまうこともあります。資産を増やすという点では魅力が少ない商品です。
 
投資信託には、対象の資産と地域があります。資産で分けると株式、債券、不動産投資信託(REIT)など。地域では国内、海外、新興国などです。これらを組み合わせたバランス型などもあります。リターンを高く求めるなら、リスク(振れ幅)が大きくなります。
 
一般的には、受け取りまで時間がある場合は、リスクを取ってリターンを得ることもできますが、受取り時期が近くなると少し安定型を多くしていく方が無難です。選ぶ商品に正解はありませんし、自分の意思で自由に決めることができます。
 
リスクをとってもリターンを得たいという攻め重視の人、あまり資産が下がるのは避けたい守り重視の人など、考え方はいろいろでしょう。
 
金融機関のiDeCoサイトや投資信託協会などに、投資の基礎知識や運用商品を選ぶポイントなどの情報は掲載されています。
 
iDeCoは税制の優遇もありますし、自分で年金資金を作るには最適です。最初からいろいろ考えすぎたり迷ってしまったりして、その結果スタートできないのはもったいないと思います。
 
大事なことは、早く始めることです。ぜひiDeCoの仕組みを活用して、将来の自分に向けてコツコツ資産を作っていきましょう。
 
参考:iDeCo公式サイト
   厚生労働省「確定拠出年金制度」
 
執筆者:田中栄二(たなか えいじ)
AFP認定者 
 

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