最終更新日: 2019.01.10 公開日: 2018.11.28
年金

公的年金等の受給者が「扶養親族等申告書」の提出を忘れると、税率がなんと2倍に?

2018年2月に老齢年金の過小支給が話題になりました。2017年に「扶養親族等申告書」の形式が封書に変わり、未提出が増えたためです。扶養親族がいない方でも「扶養親族等申告書」の提出が必要で、提出しないと所得税が大幅に増え、受給額が減ります。
 
平成31年分の「扶養親族等申告書」は公的年金について源泉徴収の対象となる方へ、平成30年9月より順次送られています。忘れずに申告書を提出しましょう。
 
新美昌也

Text:

Text:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

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新美昌也

執筆者:

Text:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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「扶養親族等申告書」とは

所得税の課税対象となる方は、公的年金等控除・基礎控除相当、配偶者控除、扶養控除、障害者控除など各種控除を受けるためには、「扶養親族等申告書」を提出する必要があります。
 
所得税の課税対象となる方は、65歳未満の方は108万円以上、65歳以上の方は158万円以上の老齢年金を受け取る方です。「扶養親族等申告書」を提出しないと、各種控除が適用されず、税率も2倍になります(※)。そのため、年金から天引きされる所得税額が過大になり、口座に振り込まれる年金額が過小になります。
 
勘違いされている方も多いのですが、扶養親族がいない方も「扶養親族等申告書」の提出が必要です。忘れずに申告しましょう。なお、提出をし忘れた方も確定申告すれば5年さかのぼって払い過ぎた税金を取り戻すことが可能です。
 
「扶養親族等申告書」の記入方法については、日本年金機構のホームページで概要を説明する動画をみることができます。また、「扶養親族等申告書」のうち、日本年金機構に最も照会が多い「配偶者の区分」について、配偶者控除欄の記入方法および所得金額の計算方法を説明する動画もあります。記入の参考としてください。
 
※年金にかかる源泉徴収税額(1円未満切り捨て)
1.「扶養親族等申告書」を提出した場合
源泉徴収税額=(年金支給額-社会保険料−各種控除額)×5.105%
 
2、「扶養親族等申告書」を提出しない場合
源泉徴収税額={年金支給額-社会保険料−(年金支給額-社会保険料)×25%}×10.21%
 

「扶養親族等申告書」未提出だとこんなに税金が増える

「扶養親族等申告書」を提出した場合と未提出の場合を比較してみましょう。
 
年金収入が月額25万円、社会保険料が月額1.5万円、控除対象配偶者あり、65歳未満という条件で試算してみます。
 
この場合、各種控除額は基礎控除と配偶者控除32,500円(月額)になります。基礎控除(月割)は、1か月分の年金支払額×25%+65,000円で計算しますので、月額127,500円となります。したがって、各種控除額合計は、16万円になります。
 
これを上記の源泉徴収税額の計算式に当てはめると、「扶養親族等申告書」を提出した場合の源泉徴収税額は、(25万円-1.5万円-16万円)×0.05105=3,828円(年額45,936円)となります。
 
一方、「扶養親族等申告書」未提出の場合の源泉徴収税額は、{25万円-1.5万円−(25万円-1.5万円)×25%}×0.1021=17,995円(年額215,840円)となります。このように「扶養親族等申告書」の提出の有無によって、こんなにも源泉徴収税額が違います。
 

「扶養親族等申告書」を、個人番号(マイナンバー)を記載しないで提出した場合はどうなる?

「扶養親族等申告書」の記載事項に、マイナンバーの記載がありますが、「番号がわからない」という方も多いのではないでしょうか。
 
日本年金機構の年金Q&A(扶養親族等申告書)には、「個人番号(マイナンバー)は、所得税法等の法令で定められた扶養親族等申告書の記載事項であるため、記載をお願いしています。
 
しかし、個人番号を記載していただけなかった場合でも、個人番号の記載がないことのみをもって、当該申告書を受理しないということはありません。また、この場合であっても提出された申告書の内容に従った源泉徴収計算を行います。
 
なお、個人番号の記載がない場合、後日ご連絡させていただく場合があります」と書かれています。マイナンバーの記載がなくとも受理はしてもらえるようです。
 

親に確認しよう!

所得税の課税対象となる方には、9~10月頃、「扶養親族等申告書」が送られています。申告書が送られてきているか、提出したか親に確認しましょう。
 
高齢の親にとって申告書を作成するのは大変だと思います。手伝ってあげましょう。
 
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。



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