更新日: 2019.01.10 厚生年金
【朗報】働く女性を応援。出産・育児を応援する厚生年金制度
産休中・育休中、そして復帰しても時短で収入が少なくなっているのに、重くのしかかっていた健康保険・厚生年金保険料。これが平成26年4月30日以降、産前産後育休中の保険料が免除となりました。
産休・育休復帰後の減給の場合は、26年4月1日以降、報酬に見合った保険料に改定できるようになりました。
そして、さらに子どもが3歳になるまでの優遇措置があります。
Text:林智慮(はやし ちりよ)
CFP(R)認定者
相続診断士
終活カウンセラー
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。
産前産後・育児休業等期間中は保険料が免除
出産による産前産後の休業期間中(出産の日の前42日[多胎の場合は98日]・出産後56日のうち、妊娠・出産が理由で会社を休んでいた期間)については、会社に申し出ることで、健康保険・厚生年金保険料は免除されます。
育児休業も、会社に申し出ることで、健康保険料・厚生年金保険料が免除されます。
会社は従業員から申し出があったら、「産前産後休業取得申出書」や「育児休業等取得者申出書」を年金事務所に提出します。提出することで、従業員負担分と会社負担分の健康保険料・厚生年金保険料の納付が免除されます。
期間はどちらも、休業開始の日が属する月から休業終了日の翌日が属する月の前日までです。期間が被る場合は、産前産後休業期間の保険料免除が優先されます。
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育休明け、給料が下がったら標準報酬月額の変更を
出産や育児休業の後に職場復帰の際、時短勤務をすることで報酬が休業前より下がってしまうことがあります。通常、給料が下がっても、給与が変動月から前の3カ月の平均より、2等級の差が出た場合にしか保険料の改定はされません。
しかし、産前・産後の育児休業から復帰後は、1等級でも差があれば改定を申し出ることができます。
改定の条件は、
●休業前の標準報酬月額と、復帰後の標準報酬月額との等級に1等級以上の差が生じること
●休業終了日の翌日が属する月から3カ月間のうち、少なくとも1カ月における給与支払い日数が17日以上(被保険者501人以上の特定適用事業所は11日以上)あること
以上のようになっています。
産前産後休業終了時に「産前産後休業終了時報酬月額変更届」を、育児休業終了時に「育児休業等終了時報酬月額変更届」を、会社を経由して年金事務所に提出します。休業終了日の次の日の属する月から3カ月間の平均から標準報酬月額を出して、4カ月目から改定されます。
3歳未満の子を養育する厚生年金加入者には、年金計算の特例が
保険料が免除になるとか標準報酬月額の改定があるとか、支払いの負担が少なくて済みます。でもその分、将来の年金が少なくなってしまうのは困りますよね。
厚生年金加入者の年金額は、給与による標準報酬月額と加入期間を基に算出されます。3歳未満の子を養育している時の標準報酬月額が、子を養育する前の標準報酬月額より下回ってしまう場合、「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例届出書」を会社を経由して年金事務所に提出することで、将来の年金の計算をする際に、3歳未満の子を養育している期間の標準報酬月額は、養育前の標準報酬月額とみなされます。
つまり、年金の受給額の計算をするときは、産休中・育休中の保険料を払ってない期間も、復帰後の時短で標準報酬月額が下がった期間も、産休前の高い標準報酬月額とみなして計算されるのです。
みなされる期間は、3歳未満の子を養育することになった時の月から、3歳になった日の翌日の前月までです。申請日よりも前の期間、前月までの2年間についてはみなし措置が認められます。
実子、養子、特別養子縁組の監護期間にある子、里親に委託されている要保護児童も対象です。
子を養育しなくなった場合は、「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例終了届」を提出しますが、子が3歳になった、退職した、産前産後免除・育休を開始、ほかの子で特例を開始した等の場合は、終了届けは必要がありません。
ところで、養育開始の月の前月に厚生年金に加入してない場合、その月目の1年以内に直近の厚生年金加入の月の標準報酬月額が従前標準月額とされます。1年以内に厚生年金加入でなければ、特例は受けられません。
制度の詳細は、日本年金機構のHPをご覧ください。
Text:林 智慮(はやし ちりよ)
CFP(R)認定者
相続診断士
終活カウンセラー
確定拠出年金相談ねっと認定FP