更新日: 2019.01.10 iDeCo(確定拠出年金)

iDeCoをはじめたけど・・元本確保型を卒業したい

執筆者 : 柴沼直美

iDeCoをはじめたけど・・元本確保型を卒業したい
昨年11月以降、2018年1月以降の不穏な動きを見ていると、やっぱり株式に投資をするのは抵抗があるという声もよく耳にします。
 
だからといって、せっかくイデコをはじめたのに、元本確保型にまるまる入れたままにしておいては、確かに社会保険料控除の恩恵は享受できても、そこまでですね。
 
収益追求型にも振り分ける考え方をみてみましょう。
柴沼直美

Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

元本確保から卒業するのはまず債券?

債券は確かに株式に比べれば値動きが小さい(これをリスクが小さいといいます)ですが、債券を満期まで待たずに、金利が上がるだろう下がるだろうという思惑から売買されるので、下落リスクを伴います。
 
それでは今のこの局面で、より値動きが小さい債券に投資するのは賢明でしょうか?
 
先進各国が大きく落ち込んだ景気下落局面からの浮上を考えて、さまざまな景気刺激策を実施してきました。これらの施策が奏功して、徐々に景気の足取りがしっかりしてきたので、景気刺激策を終えようとしています。
 
米国も利上げを実施し、2019年までに8回、9回実施するのではと市場関係者はみています。こうなれば、今の債券を保有するより、将来発行されるより金利の高い債券のほうが魅力的だということで、投資家は債券売却の動きに出ます。
 
債券価格の下落、金利の上昇はこんなところからきています。
 

米国の金利上昇は続きそう

さらに昨年11月からの米国金利上昇を引き起こした大きな理由には、米国の財政悪化があります。FRB(米連邦準備制度理事会)は、これまでの市場に対する資金供給を収束させたことから、資金を吸い上げ債券の供給者となりました。
 
さらにトランプ政権では減税に加えて財政出動という二大打ち上げ花火をあげたことにより、景気が好調であるのに財政出動するという今までの理論では説明のつかない状態になっています。
 
言いかえれば、財政の赤字は拡大基調をたどることが確実です。これを嫌気した投資家が米国債を売却しているとみられています。大口機関投資家が米国債を売却する限り、我々個人投資家が購入しても太刀打ちできません。
 

債券のリスク<株式のリスク という固定的な位置づけではない

そう考えていくと、債券のほうが値動きが小さい、満期まで持っていると元本が戻ってくる、という理論以上に実務では大きく値が動くという可能性があることを認識すべきでしょう。
 
ファイナンスの世界におけるステイタスは固定ではなく、前提(経済成長や財政状態)ですら固定ではありませんから、その都度、今の状況と皆様のゴールまでの時間の長さを勘案して、どれに投資をするかを決める必要があります。
 
Text:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
日本証券アナリスト協会検定会員、MBA(ファイナンス)、
キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表

ライターさん募集