更新日: 2019.01.10 その他年金

人生100年時代の『自分年金』の作り方

執筆者 : 當舎緑

人生100年時代の『自分年金』の作り方
「自分年金」とは最近よく聞く言葉です。公的年金額は、消費者物価指数により毎年4月に改正され、増えることもあれば減ることもありますが、今後とも「年金だけで生活できる」という時代にはならないでしょう。
 
平成30年4月、年金額は据え置きされ、年金を受け取っている人にとって、ひとまず「減らないこと」は安心でしょうが、今回は自分年金を作るための選択肢の1つ、確定拠出年金の今年の改正に注目してみましょう。

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當舎緑

Text:當舎緑(とうしゃ みどり)

社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
 

使い勝手をよくする改正は次々と

確定拠出年金の制度は2001年10月に施行されましたので、17年が経過したことになります。当初は、日本人になじみがない投資をするということで、普及はなかなか進みませんでした。
 
その後、3度にわたって掛金拠出限度額が引き上げられ、企業型は従業員も拠出できるようになり、2017年度には個人型の加入者範囲が拡大し、普及拡大のための改正が次々に行われてきました。
 
そして今年5月には、さらに使い勝手がよくなる改正がされる予定です。今回、注目していただきたいのは「中小事業主掛金納付制度の創設」です。
 
企業年金がなく、従業員数が100人以下の事業主という条件はありますが、将来の年金は厚生年金のみという人は、ぜひ会社に導入を勧めてもらいたいものです。
 

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中小事業主掛金納付制度とは

まだまだ中小企業では、企業型の確定拠出年金の導入に慎重です。実際、私も社会保険労務士としていろいろな会社とお付き合いがあり、確定拠出年金について聞かれることは増えてきましたが、説明してもすぐに「じゃあ企業型を導入しよう」となることはまずありません。
 
利益が出て、退職金制度を作ろうかと思いたっても、中小企業退職金共済などの退職制度を導入するか、賞与として、一時金を支給してしまうところがほとんどです。
 
今回新たに創設される制度は、個人型に事業主が追加で掛金を拠出できる制度という点がポイントです。加入者限度額は加入者と事業主分を合わせて年額27万6000円(月額2万3000円)ですので、利益が出たので従業員に還元したい、よい人材をつなぎとめたい、などの要望を満たすことが可能となります。
 
賞与など一時金で支給すると、社会保険料も納付しないといけませんし、従業員にとっては次年度の住民税も上がることになりますので、支給されたそのときの気分は上がるものの、自分の手元に残るお金は減ります。
 
会社に利益が出て従業員に配分したいと思ったときに、一時金で支払うよりも将来の自分年金となり得るのが、中小事業主掛金納付制度といえます。
 

扶養家族であっても考えておきたい自分年金

扶養家族のままでいたいというパートの人は多いのですが、自分年金を作るということも考えておきたいものです。ずっと国民年金の第3号被保険者として加入していた場合には、65歳から受け取れる年金は、40年加入して77万9300円(平成30年価額)。
 
毎年103万円を超えないように、頑張っているという人もいるかもしれませんが、この金額を超えることが可能になり、しかも将来受け取れる年金を増やすことができるのです。
 
自分の拠出した金額は無駄になりませんし、働いた分だけ自分の年金になりますから、もし会社に制度が導入されていれば、人手不足のなか、人材の囲い込みになると、会社に導入を勧めることもしやすいでしょう。
 
会社側も、毎年年末にパート従業員のシフトを103万円超にならないよう、微妙な調整をするよりは、働き続けてもらえるというメリットがあります。ただ会社の規程で、加入者を正社員に限定することもありますので、その場合には、会社が拠出しない個人型の確定拠出年金に自分で加入するという選択肢になるでしょう。
 
扶養家族にとっては、「今の得をとるか未来の得をとるのか」悩ましいところでしょうが、自分年金はすぐには作れません。長い時間をかけて初めて年金になっていくのです。
 
企業年金連合会のホームページを見ても、第3号被保険者の加入状況はまだまだです。扶養家族であっても、将来の年金を作るための手段があることは覚えておきたいものです。
 
公的年金の受け取りは、65歳から引き下げられることも検討が始まるようです。今の制度では、年金受給者が65歳から受け取れるはずの年金を70歳に繰り下げて受け取ることを申し出すると、42%も増えるのとは大違いです。
 
どんどん公的年金は厳しくなっていくのです。私もフリーで仕事をしていますので生涯現役と言いたいところですが、人生何が起こるかわかりません。自分年金は思い立ったらすぐ作り始めたいものです。
 
企業年金連合会のホームページ
https://www.pfa.or.jp/activity/tokei/nenkin/suii/suii03.html
 
Text:當舎 緑(とうしゃ みどり)
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)