更新日: 2019.01.08 その他年金

離婚がちらつくものの先立つものがない

執筆者 : 柴沼直美

離婚がちらつくものの先立つものがない

ご相談が進むにつれて本音がポロリと見えてきて、「例えばですが、離婚したとして…私だけの年金ではちょっと生活は難しい、夫の年金ってもらえるのかしら」ということが一番聞きたかったのだなと思われるケースに出くわすことが時々あります。
柴沼直美

Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

 

年金分割の対象

 
平成19年に以降に決まった年金分割ですが、何を分割するのか?について整理する必要があります。年金には、基礎年金と所謂サラリーマンが対象の厚生年金がありますが、分割対象となるのは厚生年金だけになります。

したがって夫が自営業(第一号被保険者)の場合は、基礎年金の被保険者ですから分割はできないということになります。期間についていうと、婚姻期間だけです。結婚前にサラリーマンとして保険料を納めていた期間は対象外になります。

 

年金分割のパターン

 
分割のパターンとして、まず合意分割があります。これは離婚する時に夫婦どちらかの請求によって、婚姻期間中の第二号被保険者としての保険料納付記録を分割できるものです。分割するかどうか、分割するとしたらどうするのかについては夫婦間で決めるか、裁判所の決定に委ね、最大で2分の1になります。

次に3号分割があります。これは第三号被保険者である妻が請求すれば夫の同意なく、平成20年4月1日以降の婚姻期間中の第二号被保険者の保険料納付記録を自動的に2分の1に分割できる制度です。婚姻期間が長くて最大2分の1がもらえるのであれば合意分割が望ましいですが、平成20年以降に結婚したのであれば合意分割でも3号分割でも同じことですね。

どちらにしても納付記録の分割ということは年金額の分割でないので、将来的にかつての夫が死亡した場合でも、年金記録を分割した後は、妻の年金となります。年金受給額には影響がないという点が、妻にとっては安心といえるでしょう。

 

手続き

 
分割された年金を受け取るためには、離婚をしたとき、婚姻の取り消しをしたときあるいは事実婚が解消したと認められた日の翌日から起算して2年の間に年金事務所で請求の手続きをする必要があります。いくつか特例がありますので詳細は日本年金機構のホームページ等で確認してください。

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