更新日: 2019.01.07 国民年金

自営業者の妻は離婚時の年金分割がない

執筆者 : 新美昌也

自営業者の妻は離婚時の年金分割がない

離婚時の年金分割制度をご存知でしょうか。熟年離婚する場合、専業主婦にとって、離婚時に夫に年金分割の請求ができるかどうかは死活問題です。しかし、専業主婦であれば誰でも年金分割請求ができる訳ではないのです。

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新美昌也

Text:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

 

年金分割は自営業者の妻は対象ではない

 
離婚時の年金分割は平成19年4月以降の離婚から請求できるようになりました。公的年金は、1階部分が国民年金(基礎年金)、2階部分が厚生年金(報酬比例部分)から成っています。企業年金は私的年金です。年金分割の対象となるのは、報酬比例部分です。

したがって、国民年金しか加入していない自営業者等の妻は年金分割を請求することができません。自営業者の妻等は年金分割を請求できないので、その分を財産分与で調整することが考えられます。あるいは、保険料贈与を受け、個人年金保険に加入するという自衛策も必要です。

 

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年金の分割方法は2つ

 
ここからは、年金分割ができる人を対象に説明します。年金の分割方法には、「合意分割」と「3号分割」があります。「合意分割」は、離婚当事者の合意により、婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録を分割するものです。合意がない場合は、裁判所に申立て、裁判所に割合を決めてもらいます。

受け取れる年金は最大で報酬比例部分の2分の1です。「3号分割」は、国民年金の3号被保険者(会社員に扶養されている主婦など)であった方からの請求によって、相手方の保険料納付記憶を2分の1ずつ分割できる制度です。

分割できるのは、平成20年4月1日以降の国民年金第3号被保険者期間中の記録に限られます。したがって、それ以外の期間いついては、話し合いや裁判の決定等できめることになります。

分割請求の手続きは、離婚後2年以内にしなければならないので注意してください。

 

年金は分割してもすぐにはもらえない

 
たとえば、夫から分割された年金をもらえるのは、妻自身が年金を受け取ることができる年齢になってからです。離婚後すぐにもらえるわけではないので、注意してください。

熟年離婚であれば、比較的早く年金を受けとることができますが、若いときに離婚すると、婚姻期間も短く、一般的に、報酬比例部分も少なく、年金をもらえるまでに何十年もありますので、ほとんど期待できません。

 

年金見込額は日本年金機構に問合せを

 
日本年金機構では、分割後の年金見込額を希望される50歳以上の年金受給権者に、分割後の年金見込額をお知らせするサービスを提供しています。

分割後の年金見込額を希望する場合は、情報提供請求書の所定の欄にその旨を記入し、年金事務所へ提出してください。

以下のことを配偶者に知られることなく教えてくれます。

・按分割合の上限(50%)
・按分割合の下限(分割を行わない場合)
・ご本人の希望による按分割合