更新日: 2019.01.11 セカンドライフ

老後に必要なお金は、衣食住ではなく「医食住」 貯蓄5000万円でも不安に思ってしまうワケ

老後に必要なお金は、衣食住ではなく「医食住」 貯蓄5000万円でも不安に思ってしまうワケ
なんとなくリタイア後が不安、と思われている方は多いのでは思います。
意外と多いのが、まとまったリタイア後の資金があるのに不安だと相談に来られる方。
どうしてなのでしょうか?
正田きよ子

Text:正田きよ子(まさだ きよこ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者

この仕事をしている人なら当然なことだけれど、フツウの人にはわかりづらいこと、
これを知っていたらよりよく暮らせるのになぁ、など、
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相談者Aさんのケース

50代後半で住宅ローンなし。夫婦共働きの自営業は安定しており、60歳以降も続ける予定。貯蓄も、5,000万円あるというAさんご夫妻。
老後が不安ということで、ご相談にいらっしゃいました。
現在の収入や、今後の収入予測も数字で把握しておられます。
もちろん、ご夫婦の年金受給額もいくらぐらいとご存知でした。
資産額も、もちろんご存知。
定年退職で収入がゼロになってしまうサラリーマン世帯と違い、60歳以降の収入も確保できているにも関わらず、どうして老後が不安と思われるのでしょうか?
 
Aさんが気にされていたのは、ゆとりある老後の生活費の平均値という情報です。
生命保険文化センターの平成28年度「生活保障に関する調査」によると、
「ゆとりある老後生活費」は平均で月に34.9万円とのことです。
約35万円とすると、年間生活費は420万円、30年間で1億2600万円になります。
1億円も超える生活費が必要になるとはと、Aさんは不安に思われたようでした。
 

収入がわかっても支出は?

Aさんには、貯蓄5,000万円以外に、ご夫婦の年金収入があります。60歳以降も仕事を続ける予定なので、完全にリタイアするまでの間、貯蓄もさらに増えていることが予想されます。
一般的な老後資金はあくまでも平均値です。
Aさんは、収入や資産額についてはしっかりと把握しておられましたが、支出はあまりよく把握できていませんでした。日々の生活費、楽しみの費用、家のリフォーム費用など、予測できる今後の支出をざっくりと計算してみました。
うまくいくとこのぐらい、
 
万一こうだとしても少しがんばれば大丈夫。と、数字をみてかなり不安が軽減されました。
 
将来のことなので、何がおこるかわかりません。それでも、ざっくりでもよいから数字をいれて計算してみないことには、何も始まりません。計算をするには、生活費がどのくらいかかっているかの把握が必須です。
 
Aさんが不安に思ってしまうワケは、支出の把握をしていなかったこと。どんなにお金を貯めても、どのくらい使うのかがわからないと不安は軽減できません。一般的な金額や平均的な金額ではなく、我が家の支出金額を知ることが大切です。
 

お金は何のために貯めるのか

Aさんは、お金が減っていくことが怖いと思っておられました。お金を貯めたのは将来使うために貯めていたはずなのに、貯めることが目的になってしまっていたようです。長生きをすることを想定して、貯蓄を少しずつ取り崩していくことになります。
貯蓄5,000万円を30年間で取り崩していくと、毎月使える金額は13万8千円です。
 
例えば、65歳から30年間、毎月13万円ずつ使っていっても320万円残る計算です。

Aさんが不安に思ってしまうワケは、お金を貯めた本来の目的を忘れてしまっていたこと。
お金は使うもの。使えば減ります。
そして、あの世にお金は持っていけません。
亡くなったときに貯蓄ゼロならば、相続争いの心配もなくなります。
 
老後に必要なお金は、衣食住ではなく医食住とも言われています。「医」とは医療費のこと。健康で長生きして、不安なく豊かな老後を送りたいものですね
 
Text/正田きよ子(まさだ・きよこ)
正田 きよ子(まさだ きよこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
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