老後に必要な資金は人によって違う? 自分に必要な貯蓄額の求め方

配信日: 2019.12.11

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老後に必要な資金は人によって違う? 自分に必要な貯蓄額の求め方
筆者はファイナンシャルプランナーとして、さまざまな相談を受けますが、「老後に貯蓄がいくらあれば良いか」という質問をよく受けます。しかし、老後に必要な貯蓄額は決して即答できるものではありません。計算しないと求めることができないからです。
 
質問された方は、参考までにということで、ズバリの金額を求めていらっしゃったのですが、ズバリ金額であれば、金融庁の報告書のとおり2000万円といわざるをえないでしょう。
 
前田菜緒

執筆者:前田菜緒(まえだ なお)

FPオフィス And Asset 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP、2019年FP協会広報スタッフ

保険代理店勤務を経て独立。資産運用と保険に強いファイナンシャル・プランナーとして、子育て世代向けに相談やセミナーを行っている。全国どこからでも受講可能なオンラインセミナーを毎月開催。自宅で学べる手軽さと講座内容のわかりやすさが好評。子どもが寝てからでも参加できるよう、セミナーや相談は夜も行っている。

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老後に必要な額は人によってまったく異なる

当然のことながら、老後のための必要な貯蓄額は人によって異なります。たとえ、生活費を月30万円に統一したとしても異なります。それは、その人の年金の金額が違うことはもちろん、何歳まで働くか、働く場合の給料はいくらか、退職金はあるか、家族構成はどうか、など人によって異なる要素がたくさんあるからです。
 
そのため、一概に老後必要額はいくらということはできません。また、モデル家族を例に算出したとしても、自分に当てはまるわけではないので、まったく無意味な数字になります。
 

さまざまな要素を明らかにする作業が必要

ではいったい、老後に必要な貯蓄額はいくらなのでしょうか。それは、下記の金額を明らかにする必要があります。
 
・何歳まで働きますか。また、月の収入額はいくらですか。
・退職金や企業年金はありますか。あるなら、いくらですか。
・個人年金や確定拠出年金をされていますか。されているなら、老後にいくら受け取ることができますか。
・国の年金はいくらですか。
・上記以外に老後に収入があれば書き出しましょう。
 
国の年金については、ねんきん定期便を参考に計算しましょう。50歳以上の方は、ねんきん定期便に年金の見込額が記載されています。この金額は、今の給料が60歳まで続くと仮定した場合の金額になっています。
 
一方、50歳未満の方は、これまでの加入実績に応じた年金額が記載されています。そのため、これだけ? と思うような金額しか記載されていないかもしれません。しかし、その金額は今後増やすことができます。どれだけ増やせるかは、下記の計算式で概算を求められます。
 
老齢基礎年金=(60歳 — 今の年齢)× 2万円
厚生年金=今後の厚生年金加入見込み月数×平均標準報酬額×0.55%

 
平均標準報酬額とは、簡単にいうと、年間給与(1ヶ月の給与上限62万円)と賞与(上限150万円)の平均額です。今後、年収がアップするなら、それを加味した金額で計算を行います。
 
厚生年金に加入されている方は、老齢基礎年金と厚生年金、両方計算をします。一方、厚生年金に加入していない自営業者や年収130万円未満のパートの方などは、今後増やせる年金は、老齢基礎年金のみとなります。
 
上記の計算式で計算した金額をねんきん定期便の「加入実績に応じた年金額」に加算しましょう。なお、50歳以上の方についても、60歳以降も働くのであれば、上記の計算式によって、60歳以降働くことで増える金額を計算できます。
 
収入を全て書き出したら、合計額を算出します。夫婦世帯の方は配偶者の分も算出しましょう。ただし、国の年金を含め、終身年金の収入額は寿命に左右されます。目安として95歳などと決めて計算をします。
 

老後のための必要な貯蓄額は?

今回の質問は、月30万円で暮らすと仮定した場合の必要貯蓄額でした。仮に65歳から95歳まで30年間、月30万円で暮らした場合、
 
30万円×12ヶ月×30年 = 1億800万円
 
先に算出した収入額からこの合計額を差し引いた額が、老後の必要資金額です。一般的には、高齢になるにつれ生活費は縮小の傾向にあります。よって、30年間、毎月30万円で生活することはないかもしれません。
 
しかし、一方で家のリフォームなど出費がかさむこともあるでしょう。また、介護状態になると施設への入居が必要になるかもしれません。よって、月の支出プラスアルファを考えておく必要があります。
 

明るい老後の資金計画をたてるために

老後の必要貯蓄額の基本的な算出方法をお伝えしましたが、働くと年金がカットされる在職老齢年金や厚生年金の家族手当である加給年金など、算出にあたって考慮したい制度はその他にも存在します。
 
まずは、ご自身で計算をしてみて、もっと正確に数字を出したい、ライフプランや生活設計についてしっかり計画を立てたいと思ったら、年金事務所に相談に行く、あるいはファイナンシャルプランナーに相談するのも良いでしょう。
 
執筆者:前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP、2019年FP協会広報スタッフ


 

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