更新日: 2019.09.19 介護
そろそろ考えておきたい親と自分の介護。費用は一体どれくらいかかる?
厚生労働省の調査によれば、人口に占める公的介護保険の受給者の割合は、65~69歳では男性が2.4%、女性が1.8%に対し、80~84歳ではそれぞれ16.0%、23.4%と増加し、90~94歳ではそれぞれ48.0%、65.3%となりほぼ半数以上の人が介護保険受給者となっています。
また、寿命が延びたことにより、親の介護がなんとか終わったと思ったら、次は、自分自身の介護を心配しなければならない状況になるかもしれません。いずれにしても、ある程度の年齢を重ねたら、介護問題は避けて通れない問題の一つであるのは間違いありません。
今回は、その介護の現状と介護に必要なお金について考えてみましょう。
執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
介護の現状
■介護原因
介護が必要となった主な原因は、表1のとおりですが、近年「認知症」を原因とする介護が増え、今回の調査(平成28年)から、「脳血管疾患」を抜いて第一となっています。
表1:介護の原因(要介護・要支援総数)上位3位(熊本県を除く)
出典:厚生労働省「平成28年 国民生活基礎調査の概況」
■介護者の悩みやストレス
介護に関する同居の方の日常生活での悩みやストレスの有無をみると、「ある」が68.9%、「ない」が26.8%となっています。性別では、「ある」は男性62.0%、女性72.4%となっていて女性の方が高くなっています。
「ある」と回答した人の悩みやストレスの原因をみると、男女ともに「家族の病気や介護」が最も高く、「自分の病気や介護」「収入・家計・借金等」などが続いています。
※数値は熊本県を除いたものです。
■要介護の新規認定日からの5年後の状態
表2をみると、要介護1であっても5年を経過すると約半数の人が亡くなり、さらに要介護度が高くなればなるほど、死亡の比率が高くなり、要介護5になると約8割の人が亡くなっています。
これらの事実は、介護の期間をイメージするのに役に立つかもしれません。
表2:新規認定日から5年後の状態 (n=2011年以前の登録者3万3196人)
介護のお金を考える
■一時的な介護費用
介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)のうち、住宅改造や介護用ベッドの購入などの一時費用は、平均で69万円となっています。
なお、要介護度別にみると表3にようになっており、要介護3が最も高く、続いて要介護5、要支援1となっています。
表3:一時的な費用の合計(要介護度別) 単位:万円
出典:生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」
■月々の介護費用
介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)のうち、月々の介護費用は、1ヶ月あたり平均で7.8万円となっています。
また、介護度別にみると表4のようになっています。要介護に関して言えば、介護度が上がると費用も掛かるようになり、要介護5では、要介護2の2倍ちかく高くなって10.4万円/月となっています。
表4:月々の介護費用(要介護度別) 単位:万円/月
出典:生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」
■公的支援サービス
今までみてきた費用は、公的介護保険サービスを受けた上での自己負担費用となります。
つまり、介護保険を利用しても1割の自己負担(所得が一定以上の場合は、2割もしく3割)は発生しますし、公的支援限度額を超えたサービスを受けたり、配食サービスや介護護用のおむつ等、保険対象外のいわゆる「横出しサービス」を利用したりすることで自己負担金が増える可能性があります。
したがって、公的介護保険サービス以外の費用も準備する必要がありますので、家庭の資産の状況をよくみて、必要に応じて公的な介護保険でまかなえない介護費用を、早めの準備をするとよいでしょう。
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー