更新日: 2019.08.21 セカンドライフ

「退職後の収入、年金だけじゃ不安」働き続ける場合はどう働くのがいいのか?

「退職後の収入、年金だけじゃ不安」働き続ける場合はどう働くのがいいのか?
多くの方が定年退職後の生活について、「不安」「心配」と感じています。「老後破たん」「老後2000万円必要」など、メディアの情報も気になるところです。確かに、年金だけで生活していくのは難しいかもしれません。
 
そこで、定年後も働くことについて、就労サポートや事例などふまえて考えてみましょう。
 

大竹麻佐子

執筆者:大竹麻佐子(おおたけまさこ)

CFP🄬認定者・相続診断士

 
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表
証券会社、銀行、保険会社など金融機関での業務を経て現在に至る。家計管理に役立つのでは、との思いからAFP取得(2000年)、日本FP協会東京支部主催地域イベントへの参加をきっかけにFP活動開始(2011年)、日本FP協会 「くらしとお金のFP相談室」相談員(2016年)。
 
「目の前にいるその人が、より豊かに、よりよくなるために、今できること」を考え、サポートし続ける。
 
従業員向け「50代からのライフデザイン」セミナーや個人相談、生活するの観点から学ぶ「お金の基礎知識」講座など開催。
 
2人の男子(高3と小6)の母。品川区在住
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表 https://fp-yumeplan.com/

最近の企業や国の動きととりまく環境

高年齢者雇用安定法の改正により、事業主は高年齢者の安定した雇用を確保するために、「65歳までの定年引き上げ」「継続雇用制度」「定年の廃止」のいずれかを実施する必要があります。
 
本人が希望した場合、引き続き65歳に達するまで雇用する「継続雇用制度」を採り入れている企業が多いようです。
 
また、行政は、ハローワーク等の紹介により雇い入れた場合や雇用管理制度の整備等を実施した企業に対して、助成金を交付する等の対策を行っています。徐々にですが、「働きたい」の声に応えられる環境は、整いつつあります。
 
しかしながら、継続雇用の場合、60歳で定年退職した後は、現役時代に比べて収入は減少し、雇用形態も不安定になることが多いようです。就職については、求職者の数に対して求人枠が少ないこと、IT化による人員削減などもあり、厳しい状況です。
 

どの世代にも共通する3つの解決策

家計改善において、また豊かに生活するためにも、共通する解決策は、以下の3つです。
 
1.収入を増やす 2.支出を減らす 3.お金に働いてもらう(資産運用)
 
3は「投資」だけでなく、お金をどうコントロール(有効活用)するかです。3つのうち「どこに重点をおくか」は人それぞれですが、どれも大切ですし、バランスが重要です。
 
定年後の生活を考えると、現役時代に比べて支出を抑えたり、住宅ローンの繰り上げ返済によって総支払額を減らしたりするなどの対策が重要になる一方で、「働く」ことで収入を増やすのも、選択肢のひとつとなります。
 

働くと、年金が減る?

「少しでも収入を増やしたいと思うけど、働くことで年金が減ってしまうのは嫌だ」という声があります。在職老齢年金という制度があり、働いて多くの給料をもらうと、その分、年金が減らされるというものです。
 
65歳以上の場合、給料と年金額をあわせて47万円を超えると、年金がカットされます。以下、A~Dさんの例で比較してみましょう。
 
Aさん(66歳) 給料10万円 年金額14万円 →手取り額 24万円 年金カットなし
Bさん(66歳) 給料20万円 年金額14万円 →手取り額 34万円 年金カットなし
Cさん(66歳) 給料30万円 年金額14万円 →手取り額 44万円 年金カットなし
Dさん(66歳) 給料40万円 年金額14万円 →手取り額 50.5万円 年金カット3.5万円
意外と、気にする必要はないですね。
 
※正確には、給料は総報酬月額相当額、年金額は老齢厚生年金(報酬比例部分)の基本月額で判断されますが、ここでは詳細は割愛します。
 
なお、在職老齢年金制度は廃止案もありますので、今後の情報に注目していきたいものです。
 

どのように働くのがいいのだろう?

まずは、どんな生活を送りたいのか、検討してみましょう。なぜ働くのか、どのくらいの収入が必要なのか、考えてみましょう。
 
「生活のため」の場合、退職後は貯蓄を取り崩しつつ、年金で生活していくことになります。いくらで生活していくのかを見積もり、不足額が「働いて得るお金」になります。
 
高齢者が働く理由は、他に「健康のため」「社会とのつながりを持つため」「地域への貢献」などさまざまです。
 
長年勤めてきた企業での再雇用は、環境面、精神面で負担が少ないと言えます。まったく違ったことを始めるにはエネルギーが必要ですが、「働きがい」「出会い」などメリットも多いです。
 

こんな働き方もあります

これまで多くの方のお話を伺ってきました。イキイキと働く方々の事例を紹介しましょう。
 
・シルバー人材センターの駐輪場の管理人 (屋外で夏は暑く、冬は寒いが、人との出会い、会話が楽しい。収入は少ないが気にならない)
・スーパーの品出し(さまざまな年齢層や国籍の人との出会い、重い荷物は若い人に任せて、在庫管理や棚ぞろえ担当、頼りにされるのがうれしい)
・長年勤務した会社の社員教育アドバイザー(同じ会社だが職種は別、退職前に学んだコーチングが役立っている)
・個人事業としてネット販売を開始 (60歳で退職し、就活がうまくいかず起業。パソコンは苦手だったが、時間があるので、若い起業仲間とともに勉強会などで学んでいる)
・介護施設で清掃のパート (将来の介護について知りたいため)
・マンション管理人 (以前は求人が多かったが、無人化(IT化)やホテル並みのフロントサービスに時代の流れと危機感を感じている)
 
など、さまざまです。
※聞き取りによる一例であり、参考としてご理解ください。
 

ライフデザインという考え方

大切なのは、現役時代からの情報収集と準備ですね。「自分らしく生きる」ことにフォーカスして、今後の人生を設計してみることが大切かもしれません。
 
東京都では、就業相談から就職活動、終業後に役立つ知識やスキルを習得するためのセミナーや能力開発、求人情報などのワンストップサービス「東京しごとセンター」を設置しています(都民以外でも都内の仕事探しは可能)。
 
お住まいの自治体情報をチェックしてみてはいかがでしょうか。
 
(出典)
東京しごとセンター ホームページ
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構「高齢者の方へ」
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構「高セカンドキャリアに関する各種情報提供(リンク集)」
日本年金機構「在職老齢年金の支給停止基準額変更」
 
執筆者:大竹麻佐子
CFP🄬認定者・相続診断士


 

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