更新日: 2019.06.14 その他老後

高齢化の進展とともに利用者も増えている成年後見制度の必要はいくら

高齢化の進展とともに利用者も増えている成年後見制度の必要はいくら
成年後見制度への関心が高まっています。高齢化の進展とともに、制度の利用も増えています。成年後見制度は、認知症の高齢者や知的障害者、精神障害者など、判断能力のない本人に代わって第三者が、法律行為や財産の管理などの支援を行う制度です。
 
成年後見制度には、支援を行う第三者を家庭裁判所が選ぶ「法定後見制度」と、判断の応力がなくなる前に事前に依頼をしておく「任意後見制度」があり、ここでは「法定後見制度」についてご紹介いたします。
 
村井英一

執筆者:村井英一(むらい えいいち)

国際公認投資アナリスト

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本証券アナリスト検定会員
大手証券会社で法人営業、個人営業、投資相談業務を担当。2004年にファイナンシャル・プランナーとして独立し、相談者の立場にたった顧客本位のコンサルタントを行う。特に、ライフプランニング、資産運用、住宅ローンなどを得意分野とする。近年は、ひきこもりや精神障害者家族の生活設計、高齢者介護の問題などに注力している。

本人に代わって財産の管理をする成年後見人

高齢になると、認知症などで金銭の管理がおぼつかなくなることがありますが、介護保険サービスを利用するにも、介護事業者との契約や支払いが必要です。
 
また、有料老人ホームへ入居する場合など、大きな金額の選択や自宅の処分などの判断が必要になることもあります。そのような場合に、本人に代わって、さまざまな契約などの行為をし、入出金等の財産管理を行ってもらう人(成年後見人)を、家庭裁判所に決めてもらいます。
 
家庭裁判所によって選任された成年後見人には、本人の代わりに契約をする代理権や、本人が行った売買を後から取り消すことができる取消権があります。後見される被後見人の生活を見守り、介護や医療を受けるための手配をするのも、成年後見人の役割です。
 
以前は子どもなどの親族が選ばれることが多かったのですが、最近では弁護士や司法書士、社会福祉士などの専門家が選ばれることが多くなっています。
 
成年後見人が選ばれたら、その旨を法務局で登記します。登記された証明書を金融機関に提出すると、成年後見人が預貯金の引き出しをできるようになります。
 
成年後見人は、自分のお金とは別に、被後見人の財産を管理します。まず財産目録を作成し、今後の資金計画を立てます。こまごました収支もすべて記録していき、年1回は家庭裁判所に状況を報告します。
 
被後見人のお金は、本人のためになることだけにしか使えず、家族であっても安易に渡すことはできません。月に1回程度は被後見人と面談し、本人の希望や困ったことはないかを把握します。
 
本人に代わって、介護や福祉の関係者と連絡し、できるだけ被後見人の希望をかなえることが大切です。
 

費用を助成してくれる制度がある

親族ではない専門家が成年後見人になる場合は、報酬が必要になります。この金額は家庭裁判所が決めます。被後見人の財産の額に応じて、月額で2~5万円程度とされています。
 
とはいっても、長期間となれば金額もかさみます。月額2万円だと年間24万円。5年で120万円、10年続けば240万円となります。知的または精神的な障害の場合は、長期に及ぶことが多いので、少なくない金額がかかります。
 
成年後見を利用するための手続きにも、費用がかかります。申立費用は800円、登記費用は2600円、その他切手代が3000~4000円と、それほどではありませんが、場合によっては「判断能力がないか」を判定するための鑑定費用に、5~10万円程度かかることがあります。
 
このように見ていくと、ある程度の資産がないと、成年後見制度を利用できないように思われます。しかし、資産が少なく身寄りのない人ほど、寄り添って支援をしてくれる、成年後見人を必要としているものです。
 
そのような人のために、自治体ごとに成年後見のための費用を助成する制度を設けています。主に、生活保護を受けているか、それに準ずる状況の人が対象となります。
 
ただ、自治体ごとの制度になっていますので、条件は地域によってまちまちです。身寄りのない人など、成年後見を利用するための申立てを自治体が行うケースだけを対象としている場合もあれば、親族が申立てをした場合も対象とする自治体もあります。
 
申立てにかかる費用をすべて助成の対象にしているところもあれば、鑑定費用だけとしている自治体もあります。さらに、成年後見人への月々の報酬に対する助成も、自治体によって上限額が違います。
 
条件に該当する人は、助成を受けて利用したいものですが、お住まいの地域によって条件や助成の金額が異なりますので、よく確認してください。
 
執筆者:村井英一(むらい えいいち)
国際公認投資アナリスト
 

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