更新日: 2019.06.14 定年・退職

【疑問】退職後に新しい家で過ごしたい。自宅の建て替えは可能か?

執筆者 : 杉浦詔子

【疑問】退職後に新しい家で過ごしたい。自宅の建て替えは可能か?
30代で購入した木造の一戸建ての建売住宅。それから30年近く経過し、ご近所が建て替えを始めると、自宅が古くなったと感じてきます。
 
今まで共働きで、家にいる時間が短く、自宅のことをあまり考えたことはなかったけれど、退職後に自宅で過ごす時間が増えるとしたら、自宅はこのままでいいのか、建て替えが必要なのか、資金面からも考えてみましょう。
 
杉浦詔子

執筆者:杉浦詔子(すぎうらのりこ)

ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント

「働く人たちを応援するファイナンシャルプランナー/カウンセラー」として、働くことを考えている方からリタイアされた方を含めた働く人たちとその家族のためのファイナンシャルプランニングやカウンセリングを行っております。
 
2005年にCFP(R)資格を取得し、家計相談やセミナーなどのFP活動を開始しました。2012年に「みはまライフプランニング」を設立、2013年よりファイナンシャルカウンセラーとして活動しています。
 

戸建ての購入とメンテナンス時期

住宅金融支援機構がまとめた2017年度のフラット35の利用状況を見ると、建売住宅の平均購入価格は3336.8万円、取得年齢は39.0歳となっています。
 
住宅は徐々に老朽化するため、マンションでは修繕積立金を徴収し、積み立てた額で共用部分の修繕を行います。一戸建ては修繕積立の制度はありませんが、新築から10~15年ごとに、屋根や外壁のメンテナンスが必要になるといわれます。
 
30年近く経過し、退職後は自宅で過ごす時間が増えるとメンテナンスを行い続けるか、建て替えるか迷います。
 

住宅の建て替えとは

建て替えとは、既存の住宅を基礎部分から取り壊して更地にし、新たに住宅を建築することです。
 
既存の基礎部分を残して修繕することや、改築や増築で新築同様の状態にすることはリフォームといいます。水回りや、床・壁紙などを変える部分リフォーム、すべて新しくするフルリフォームがあります。
 

住宅の建て替え費用

どのような住宅を建築するかにより建て替え費用は大きく変わってきますが、一例として坪単価55万円で35坪の家を建てると仮定しましょう。建築費用が1925万円となり、付帯工事費が建築費用の3割程度と仮定すると577.5万円です。
 
それ以外に、解体工事費、不用品の処分、建て替え期間の仮住まいの家賃、引っ越し費用が2回分必要になり、これらを合わせて300万円と仮定すると、建て替え費用に約2800万円かかることになります。家具などを買い換えると費用はさらに膨らみます。
 

建て替えの住宅ローン

住宅を建て替えるのに十分な金融資産があれば住宅ローンを考える必要はありませんが、住宅ローンが必要となるケースも考えられます。
 
フラット35では、融資申込日現在の年齢が70歳未満であれば15年(60歳以上は10年)以上、35年以内の融資を受けることができます。ただし返済は80歳が上限ですので、最長返済期間は「80歳-(申込時年齢+1歳)」、つまり58歳の方は最長で21年で住宅ローンを完済しなくてはなりません。
 

ローン返済ができるか考える

では、建て替え費用を2800万円と仮定し、全額を住宅ローンとした場合の毎月の返済額を考えて見ましょう。
 
フラット35で20年返済、金利が2%と仮定すると、ボーナス返済なしの場合、概算で毎月14.2万円の返済が必要となります。50代の収入では返済が可能であっても、65歳を過ぎて年金生活になったとき、返済は可能でしょうか。
 
建て替えを決断する前に、返済についても家族でしっかり話し合うことが大切ですね。
 
参照・出典 住宅金融支援機構「2017年度 フラット35利用者調査」
 
執筆者:杉浦詔子(すぎうらのりこ)
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント
 

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