更新日: 2019.06.13 セカンドライフ

母の日直前に考えよう!家を選ぶよりも難しい高齢者施設を選ぶ際のポイント

執筆者 : 宮﨑真紀子

母の日直前に考えよう!家を選ぶよりも難しい高齢者施設を選ぶ際のポイント
「子どもに面倒を掛けられないから、将来は施設に入るつもりでいる」という人は多いようです。“将来”はどのタイミングでしょうか。介護施設を選ぶことは、家を選ぶこと以上に難しい点があります。選ぶ際に気を付けたい、見落としがちな点を考えてみます。
 
宮﨑真紀子

執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

たくさん種類があって選びきれない

高齢者向けの施設には、様々な種類があります。大きくは、公的施設と民間の施設に分類されます。一般的には公的施設の方が掛かる費用が安価なため、「入居待ちをしているが順番が回ってこない」ということが多いです。
 
公的施設の種類を図表にしてみました。介護の必要度によって入居できる施設は区分されています。必要な介護によって選べる施設は変わります。
 

 
民間の施設はさらに種類が多くなりますが、必要な介護の状況によって入居できる施設が分けられている点は同じです。
 
高齢者施設を選ぼうと複数の施設を見学に行ったものの、それぞれに施設も良い点があり、なかなか決められないということがあります。近い将来にやってくる“介護”に重点を置いて考えることは重要です。
 
病院との連携をスムーズに行ってもらえるのか、介護士さんは常駐しているのか等が、まず気になります。身体状態が変わって介護度が重くなっても暮らし続けられるか、も注意が必要です。
 
また、認知症の方の受け入れについては、「軽度なら」という但し書きのある施設も多いので、確認することが必要です。途中で「施設を変える」ということは「引越しする」ということです。慣れ親しんだ環境を変えることは精神的に大きな負担となりますので、「引越し」はなるべく避けたいところです。
 

視覚、聴覚だけでなく、臭覚も重要

選んだ施設が自分に合わずに「引っ越すことになった」という事例は多く見られます。その失敗の多くは、施設見学をすることで避けることが出来ます。
 
特に介護が進んでいない場合の自立型の施設選びでは、自分の暮らし方と合っているかがポイントになります。「食事会付き見学会」が催されているケースも多いので、こういう機会を活用することはお勧めです。
 
入居者同士の交流が盛んで、イベントを充実させている施設もあります。活動的な毎日を送ることで、心身ともに元気になりますので、必要なことだと思います。一緒に歌ったり、何かを作ったりすることで会話も生まれますし、新しい友達も出来ます。日々が充実するかもしれません。
 
ですが、“静かに暮らしたい”“自分の時間を大切にしたい”という性格なので疲れてしまう、人間関係に悩まされそうで心配、などの副作用もあります。
 
見学会に行った際に入居者の生の声を聞いてみることも有用だと思います。個室だけでなく、施設全体の間取りが自分に合っているかもチェックポイントになりそうです。
 
介護施設に詳しい専門家によると、「見学に行って五感や肌で感じることが、実は重要。特に匂いは侮れません。基本に戻って、“暮らす場所”として考えてみることが大事」だそうです。
 
複数の施設を見学すると、ついつい細かい設備を比較しがちです。「基本に戻ることが大切」というアドバイスに、なるほどと思いました。
 

入居の予算について、家族で相談することも大切

先日、「サービス付き高齢者向け住宅」の折り込み広告を見つけました。医療や介護サービスの充実した、かなり高級な物件です。
 
前払い方式(将来の賃料を一括して支払う方式)
75歳 1人入居の場合 1億6,992万円
82歳 1人入居の場合 1億1,328万円 
*賃料の他に月額利用料(共益費・基本サービス料金)が必要です とありました。
 
少し極端な例かもしれませんが、このように入居する年齢で金額は変わってきます。どのような施設を選ぶ場合でも、自分の予算を把握することが前提になります。長期滞在することで予算が足りなくなった例は多くあります。
 
このことがきっかけとなり、相続の時にトラブルに発展することもあります。家族で状況を共有しておけば、元気で長生き、老後を安心して暮らせそうです。
 
執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
 

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