更新日: 2019.06.18 セカンドライフ
住み続けながら自宅をお金に換えるという選択肢を知ってますか?
執筆者:宿輪德幸(しゅくわ のりゆき)
CFP(R)認定者、行政書士
宅地建物取引士試験合格者、損害保険代理店特級資格、自動車整備士3級
相続専門の行政書士、FP事務所です。書類の作成だけでなく、FPの知識を生かしトータルなアドバイスをご提供。特に資産活用、相続トラブル予防のため積極的に「民事信託(家族信託)」を取り扱い、長崎県では先駆的存在となっている。
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※1 総務省統計局「平成25年住宅・土地統計調査 結果の概要(確報集計)第3章世帯の居住状況」より
その一方、金融資産が少ない高齢者でも、持ち家に住んでいる人が大半です。この自宅を、うまく活用できれば、老後の生活の心配が解消できるのではないでしょうか。
リバース・モーゲージとは
自宅を担保にしてお金を借り、死亡した後に自宅を売却して返済に充てる制度です。通常の住宅ローンでは借入残高が返済により年々少なくなりますが、リバース・モーゲージの場合は逆に借入残高が年々増加するのです。
例)自宅を担保として、年金で不足する生活費を年100万円ずつ借り入れる。
「自宅はあるが、年金だけでは生活が苦しい。だからといって自宅を処分すると住む場所がなくなってしまう」。リバース・モーゲージを利用すれば、自宅に住み続けながら老後の生活の安定を図ることができます。
リバース・モーゲージの現状
欧米では、普及が進み一般化していますが、日本ではまだあまり知られていません。
一部の公的機関(社会福祉協議会等)や民間の金融機関で取り扱いをしていますが、
・公的機関のものは融資条件が厳しい
・民間のものは、高額な融資が対象
となっているため、利用できるエリアが不動産の評価が高く換金しやすい都市部に偏っているのです。
返済方法
リバース・モーゲージを利用した場合、借入額の上限は担保額(自宅の売却見込み額)の50~70%になります。そして、借入元金は、契約者の死亡後に住宅を売却して返済しますので、契約期間中は返済不要です。契約期間中は金利のみを毎月支払います。
例)担保評価額3000万円、借入額上限70%、金利3%、上限額まで借り入れた場合
融資可能額=3000万円×70%=2100万円
契約期間中の毎月返済額=2100万円×3%÷12=5万2500円/月
契約者死亡後、3000万円で売却できた場合には、2100万円を返済し残りの900万円は相続財産となります。※任意売却ですので担保評価額のとおりに換価できるとは限りません。
また、利息元加型という支払い方法もあります。契約期間中は、金利の支払いをせず元金に利息を加算していきます。返済時には、元金と利息をまとめて支払います。この方法ですと、契約者の生存中の支払いは0円とすることができます。
リバース・モーゲージのメリット
・自宅に住み続けながら、資金が手に入る。
・資金の使い方が自由
投資や事業資金として活用することはできませんが、孫の教育資金など住宅関連以外にも使うことができます。
・元金の返済は、契約者死亡まで不要
元金は契約者死亡後に自宅を売却して一括返済しますので、それまでは金利の支払いだけです。
リバース・モーゲージのデメリット
・不動産価格下落リスク
不動産価格が下落して自宅の売却価格が借入額に足りない場合には、差額を相続人が一括で返済する必要があります。
・金利上昇リスク
リバース・モーゲージの金利は基本的に変動金利です。金利が上昇すると、月々の返済額も上昇します。
・長生きリスク
借入れできる金額には上限があります。長生きすることで、借入れが上限に達してしまうとそれ以降は新規の借入れができなくなってしまいます。
・マンションの取扱条件は厳しい
リバース・モーゲージの担保対象となるのは戸建てと土地が中心になります。マンションに関しては、金融機関により引き受けの可否が異なります。引き受け可能な場合でも、戸建てに比べると条件は厳しくなります。
メリットorデメリット
・自宅を相続できない。
相続時には、処分して一括返済しますので、不動産として相続はできませんが、不動産を相続したくないという方には、メリットかもしれません。
※リバース・モーゲージは、老後の生活資金調達法として有効な制度です。老後の生活が不安な方は、自分の持ち家で利用が可能かどうか確認してみましょう。
※1 総務省「平成25年住宅・土地統計調査 結果の概要(確報集計)第3章世帯の居住状況」
執筆者:宿輪德幸(しゅくわ のりゆき)
AFP認定者、行政書士