30年以上勤めた会社を退職し「2000万円の退職金」を受け取ることに。税金を考えると「一時金」と「年金」どちらの方がお得でしょうか?

配信日: 2025.06.05

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30年以上勤めた会社を退職し「2000万円の退職金」を受け取ることに。税金を考えると「一時金」と「年金」どちらの方がお得でしょうか?
老後の生活資金として退職金を頼りにしている人も多いですが、退職金には税金がかかります。税負担を抑えたい場合、一時金で受け取る場合と年金で受け取る場合とではどちらがお得なのでしょうか。本記事では、退職金の平均支給額や一時金・年金で受け取る場合のメリット・デメリット、受け取り方を決める際のポイントを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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退職金の平均支給額は「1872万9000円」

厚生労働省中央労働委員会の調査によると、平均退職金支給額は定年退職が1872万9000円となっています。男性大学卒の場合は、満勤勤続で2230万4000円です。また、退職一時金制度がある企業は89.8パーセント、退職年金制度がある企業は97.0パーセントとなっています。
 

税金の面ではなるべく「一時金」で受け取る方がお得

退職金を一時金で受け取るメリット・デメリットは以下の通りです。
 
・退職所得控除が適用される
国税庁によると、退職により勤務先から支給される退職手当の所得を退職所得といい、退職所得には退職所得控除が適用されます。一時金は退職所得(退職手当等)とみなされるため、退職所得控除の適用対象です。特に、退職所得控除額は勤続年数が長いほど増えるため、税金の面で有利になるでしょう。
 
・受取総額が少なくなる
退職金を一括で受け取るため、年金で受け取る場合に比べて退職金の運用期間が短くなり、受取総額が少なくなる恐れがあります。税金面で有利ではあるものの、額面上の金額が減ってしまうのは無視できないデメリットです。
 
一方、退職金を年金で受け取るメリット・デメリットは以下の通りです。
 
・受取総額が増える可能性がある
年金で受け取る場合、退職金の運用期間がのびるため、受取総額が増える可能性があります。特に、長期での受け取りを選択する場合は退職金の運用益が上乗せされやすくなるでしょう。
 
・税金や社会保険料の負担が増える
年金で受け取る場合は税法上雑所得(公的年金等)として扱われるため、退職所得とはみなされず、退職所得控除も適用されません。公的年金等控除により一定金額が課税所得額から差し引かれるものの、合計所得が増えることで税金や社会保険料が高くなる恐れもあります。
 

退職金の受け取り方を決める際のポイント

退職金の受け取り方を決める際は、老後の働き方を考えることが重要です。定年退職後に働く予定がない場合、年金で受け取る場合でも所得はそこまで増えないため、税金の負担は大きくなりにくいでしょう。
 
一方、退職後も働く予定がある場合は一時金での受け取りがおすすめです。年金で受け取る場合、長期間退職金が年間所得に上乗せされるため、税金や社会保険料の負担が重くなるでしょう。
 
また、公的年金には受給開始時期を66歳以降に遅らせる繰り下げ受給制度があります。これを利用して、退職年金を受け取っている間は公的年金を受給しないようにすることで、税金や社会保険料の負担を軽くできるかもしれません。
 
さらに、一時金で受け取って運用するのも一つの手段です。自分で運用することで、将来のインフレに備えつつ、老後資金をさらに増やせる可能性があります。ただし、運用は元本が減るリスクもあるため、計画的な管理や慎重な判断が重要です。
 

まとめ

退職一時金は退職所得とみなされ、退職所得控除が適用されるため、税金を考えると一時金で受け取った方が得をする場合もあるようです。一方、受取総額を増やしたい場合や繰り下げ受給制度を利用する場合は年金での受け取りも十分メリットがあります。老後の働き方や資産活用を考えて、退職金の受け取り方を決めましょう。
 

出典

厚生労働省中央労働委員会 令和3年賃金事情等総合調査(確報)
国税庁 No.2725 退職所得となるもの
国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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