「定年退職してから、健康診断を受けてない」と言う父。会社の補助がなくなり「自費」で受けることになりそうです。負担を軽くする方法はありますか?
配信日: 2025.06.18

いざ請求額を見て驚かないためにも、費用の目安と“おトクに受ける方法”をしっかり押さえておきましょう。

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会社にいたころは“当たり前”だった健診
会社員時代、毎年の健康診断は「会社でやるもの」だと思っていた方も多いかもしれません。法律で会社に義務付けられているから行われていたのです。
労働安全衛生法では、企業は社員に年1回の定期健康診断を実施することが義務。費用も原則、会社が全額負担です。相場は5000円〜1万5000円ほどですが、在職中はその金額を意識することはほとんどなかったでしょう。
実際、全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入している会社員が受ける「一般健診」では、検査項目に応じて会社側に補助があり、本人の自己負担額は数千円で済むのが一般的です。例えば、自己負担が最大5282円というケースもあります。
しかし、定年退職を迎えるとこの仕組みは一変します。会社を離れると、企業の健康診断制度は利用できなくなり、健診費用は自分で負担するケースもあります。
「基本の健診」と「人間ドック」、どのくらい違う?
定年後は体調が気になる年齢でもあります。「そろそろ本格的に調べてもらおうかな」と考える方も多いのではないでしょうか。そこで気になるのが、定期健診と人間ドックの費用の差です。
定期健診は一般的に5000円〜1万5000円ほどですが、人間ドックは内容がより詳しくなる分、費用も一気に上がります。一例として以下のような費用がかかります。
●日帰りの人間ドック:平均で3万〜7万円程度
●1泊2日の人間ドック:6万円を超えるケースも
また、オプションで脳ドックを追加すると約1~5万円と、さらにコストがかかります。がん検診なども、1項目ごとに費用が加算されます。乳がん検診や子宮頸がん検診など、検査を追加するほど費用は積み上がっていくでしょう。
さらに注意したいのが、同じ検査内容でも医療機関によって金額に差がある点です。人間ドックでは最安と最高で2倍以上の価格差が出ることもあり、特に都市部の医療機関では、料金が高めに設定されている傾向があります。
定年後の健診の工夫とは?
定年後も健康を保つには、やはり定期的な検査は欠かせません。とはいえ、できれば費用は抑えたいところです。そんなときは、次のような方法を検討してみてください。
●任意継続被保険者制度を活用する
退職後も、最大2年間は在職時の健康保険組合に加入し続けられる「任意継続被保険者制度」があります。この制度を利用すると、組合ごとの健康診断補助が引き続き受けられる場合もあります。お使いの健康保険組合の制度内容を確認し、不明点があれば問い合わせてみるとよいでしょう。
●国民健康保険加入者の「特定健診」
40〜74歳を対象とした「特定健康診査(特定健診)」を受けられます。多くの自治体では、これを無料または格安で提供しています。
例えば、埼玉県新座市では、市の国民健康保険に加入している40歳~74歳の方を対象に、約1万3000円相当の健診費用を市が全額負担しており、無償で受診することが可能です。さらに希望者には、人間ドックに対して約3万円の補助も用意されています。
●検査項目の“取捨選択”
「とりあえず全部調べたい」と思ってしまいがちですが、必要な項目に絞ることで費用は大きく変わります。自分や家族の既往歴、年齢などをふまえて検査内容を見直すのも、ムダなく健康を守るポイントです。
退職後も、無理なく“健康第一”を続けるために
定年退職を迎えると、健康診断の費用は「会社が負担」から「自分で支払うもの」へと変わります。しかし、制度や補助を上手に活用すれば、大きな出費をせずに健康管理を続けることも十分可能です。
これからの人生を元気に過ごすためにも、無理のない範囲で健診を取り入れながら、自分たちなりの“健康習慣”を続けていきましょう。
出典
新座市 特定健康診査のご案内
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー