高齢の求職者が過去最多! 老後の「収入不足」を補うためにはやはり働き続けるしかないのでしょうか…?
配信日: 2025.06.17

果たして、それは前向きな選択なのでしょうか? それとも生活のための苦肉の策?この記事では、老後のリアルなお金事情と、働き続ける理由を探ります。

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シニア就業者数が急増! 高齢者の「働く意欲」はどこまで高まっているのか
日本の高齢化は加速しているようです。総務省によると、65歳以上の人口は2025年5月時点で3623万2000人、総人口の約29%を占めています。
その中で、65歳以上の就業者数も933万人(2025年4月時点)であり、2015年の732万人と比較すると201万人もの増加が見て取れます(総務省統計局「労働力調査結果」より)。
高齢者の働く意欲も高まっており、2025年に入ってからは「シニア」「60代」「70代」といったキーワードによる求人検索が急増しています。これは、単にお金のためだけではなく、社会参加という理由もあるようです。
老後の生活費は本当に足りている? 家計調査と現実のギャップ
では、実際に老後の生活費はどのくらい必要なのでしょうか。総務省の「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、二人以上の世帯の月平均消費支出は30万243円で、名目では前年比2.1%増加したものの、物価上昇を考慮した実質では1.1%減少しています。
また、さまざまな調査にて多くの高齢者が「公的年金だけでは生活が厳しい」「老後資金が不安」と感じているという結果がでています。実際に、60歳以降に求職活動を行った多くの人が「経済的な理由」ということです。
このように、統計上は消費支出が増加傾向にあるものの、実質的な購買力は低下し、多くの高齢者が収入不足による不安を抱えていることが読み取れます。
高齢者雇用の現状と課題
高齢者雇用をめぐる環境も大きく変化しています。2025年4月からは「高年齢者雇用安定法」が改正され、働く意欲のある高齢者全員を65歳まで雇用することが企業に義務付けられました。これにより、定年後の再雇用や継続雇用の枠が広がり、シニア層にとって働き続けやすい環境が整いつつあります。
また、企業側も労働力不足を背景に、高齢者雇用への関心を高めています。実際、産業別に見ると「医療・福祉」「サービス業」「卸売・小売業」などで高齢就業者の増加が顕著です。
しかし、求職者と企業のミスマッチや、シニア向けの求人が十分に広がっていないという課題も残っています。特に、60歳以降に求職活動をした人のうち、3割が「採用経験なし」と回答しており、働きたい意欲と企業のニーズが必ずしも一致していない現実があります。
まとめ
「働き続けること」は老後の不安解消に大きな効果がありますが、健康や体力、ライフスタイルに合わせて無理のない範囲で働くことが大切です。
また、働く以外にも家計の見直しや資産運用、各種制度の活用など、多角的なアプローチで老後資金を確保する方法を検討しましょう。人生100年時代、柔軟な発想と情報収集が、豊かな老後を実現する鍵となりそうです。
出典
総務省統計局
人口推計(2024年(令和6年)12月確定値、2025年(令和7年)5月概算値)(2025年5月20日公表)
労働力調査(基本集計)月次(2025年4月)表番号12 年齢階級別就業者数
家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要(5ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー