今年80歳を迎える高齢の父、「資産管理」が心配です。「老後の資産管理」について話し合う家族って少数派ですか?

配信日: 2025.06.16

この記事は約 3 分で読めます。
今年80歳を迎える高齢の父、「資産管理」が心配です。「老後の資産管理」について話し合う家族って少数派ですか?
80歳を超えると、認知症のリスクが高まるといわれています。高齢の家族がいる方のなかには、今後の資産管理について不安に思っている方もいるでしょう。では、老後の資産管理にはどのような方法があるのでしょうか。
 
本記事では、「老後の資産管理」の現状と管理方法について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。

「7割超」が老後の財産管理について「話し合ったことがない」と回答

老後の財産管理を行う際、本人と親族の意思疎通が重要です。話し合いなどを通じて、どのように資産を管理するか決めておくといいでしょう。
 
ベンチャーサポート相続税理士法人が実施した「老後の不安に関する調査」によると、全国50代~70代の男女のうち、61.4パーセントが終活として「身辺整理」をしたいと回答しています。家族が困らないように、財産や不動産の整理は重要だと考えている方が半分以上いるようです。
 
しかし「老後の財産管理について家族や親族と話し合ったことはありますか?」という問いに対し、71.8パーセントは老後の財産管理について家族や親族と「話し合ったことはない」と回答しています。「財産の話はしづらい」「どのように財産管理すればよいか分からない」などの理由から話し合いが進まないようです。
 

「老後の資産管理」方法その1:家族信託

家族信託は、財産を管理・処分する権限を家族に与えることで、所有者自身で資産管理ができなくなっても他の家族が管理・処分ができるようになります。
 
家族信託では関係者が財産を委託する人(委託者)、財産を管理・処分する人(受託者)、管理した財産で利益を受け取る人(受益者)に分けられます。このうち、委託者と受益者は同じ人になることがほとんどのようです。
 
家族信託を利用するメリットとして、委託者の希望に沿った財産の引き継ぎ方を決定できることが挙げられます。家族信託契約の中で、管理した財産で利益を受け取る人(受益者)を順番に指定することで、委託者の希望に沿った財産の引き継ぎが可能になります。
 
ただし、受託者候補が二人以上いる場合は注意しましょう。例えば、財産所有者の子どもにあたる人が二人いる際、どちらか一人に受託者になってもらい、もう一人には何も伝えなかったとします。
 
この場合、何も知らされなかった子どもから不満が発生したり、財産の収支が不明瞭だと、「資産を使い込んでいるのではないか」と疑われたりするおそれがあります。こういったトラブルを防ぐためにも、家族信託を行う前には必ず家族会議を行いましょう。
 

「老後の資産管理」方法その2:成年後見制度

成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な方を法律的に保護し、支援するための制度です。成年後見制度には、法定後見と任意後見の2種類あります。法定後見と任意後見の違いを表1にまとめました。
 
表1

法定後見 任意後見
開始時期 判断能力が低下した後から 判断能力があるうちに契約する
後見人の選任 家庭裁判所 本人
本人の意思反映 反映されにくい 反映されやすい
取消権 あり なし
柔軟性 低い 高い

※筆者作成
 
成年後見制度のメリットとして、不要な契約や詐欺の防止が挙げられます。また、不要なものに使っているお金を早期発見し、使い込みを防げるかもしれません。一方、成年後見人に報酬を払う必要があったり、親族が成年後見人に選ばれた場合、資産を使い込んでしまうおそれがあったりすることは、デメリットといえるでしょう。
 

まとめ

老後の資産管理は、重要だと考えているものの「やり方が分からない」「財産の話をしづらい」といった理由から財産管理の話し合いが行えないという方もいるかもしれません。高齢化に伴い、認知症のリスクが高まるため、家族信託や成年後見制度を利用して老後の資産管理を適切に行いましょう。
 

出典

ベンチャーサポート相続税理士法人 <老後の不安に関する調査>を実施
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集