年金暮らしの父に「100万円借りたい」と言われました。自力で生活できないなら「生活保護」を頼ってもらうのがいいでしょうか?
配信日: 2025.06.16

本記事では、年金と生活保護の併用は可能か、また年金受給者が生活保護を受けるための条件もご紹介します。年金生活に不安を感じている方や、親や親族の生活費を気にしている方は、最後までご覧ください。

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年金と生活保護は併用して受給できる
生活保護は、健康で文化的な最低限度の生活を保障するために利用できる制度です。身体的・精神的な理由で働くことが難しい方を支援するものですが、年金収入が少なくて困窮している高齢者も、生活保護の受給対象です。
もっとも、生活保護は誰もが利用できる制度ではありません。まずは、受給要件に当てはまっているかを確認しましょう。
年金受給者が生活保護を受けるための条件
年金受給者が生活保護を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
・生活費をサポートしてくれる親族がいない
・資産を持っていない
・病気やけで働けない
・公的な支援を利用していない
ここからは、一つずつ解説していきます。
生活費をサポートしてくれる親族がいない
生活保護は、最低限度の生活を保障するための「最終手段」です。そのため、家族や親族からの支援が受けられる場合は、扶養義務者による援助が優先されます。
生活保護受給申請を行うと、申請を受けた福祉事務所によって、三親等内(父母、兄弟姉妹、子、孫、ひ孫、おじ・おば、甥姪、祖父母、曽祖父母)に金銭的な支援ができる親族がいないかの調査が入ります。
親族から援助を断られ、福祉事務所によって「援助できる親族はいない」と判断された場合は、生活保護を受給できます。
資産を持っていない
年金収入が少なくても、土地や株・債券などの資産を持っている場合は受給できません。資産を保有している場合、まず、それらを売却して生活費に充てる必要があります。預貯金や土地、株・債券といった資産を持っていなければ、生活保護は受けられます。
病気やけがで働けない
年金受給者であっても、パートタイムで働くことは可能です。高齢者の中には、年金収入だけでは生活が苦しいため、パートタイムの収入で生活費を補っている方もいます。
したがって、働ける状態にある方は生活保護を受給することはできません。病気やけがなどで働ける状況になく、年金収入も限られている場合に生活保護を受給できます。
公的な支援を利用していない
生活保護は、他のあらゆる制度を活用した、あるいは活用を検討しても最低限の生活をすることが困難な場合に利用できる制度です。
例えば、高齢者が生活困窮した場合には、以下のような制度を受けられる可能性があります。
・相談支援:働くための支援や家計管理指導などの相談
・生活福祉資金貸付制度:生活困窮者が利用できる貸付制度
これらの制度を活用しているときは、生活保護を受給できないため注意しましょう。
生活保護の受給申請の流れ
生活保護を受けるには、申請手続きが必要です。受給までの主な流れは以下のとおりです。
(1)福祉事業所での事前相談
まずは、居住エリアにある福祉事業所の生活保護担当で事前相談を行います。受給要件の説明はもちろん、他に活用できそうな制度を紹介されることもあるでしょう。
(2)生活保護の受給に関する調査
申請後は、生活保護の利用が可能かどうかを判断するために、下記のような調査が実施されます。
・家庭訪問など、生活状況を把握するための調査
・保有している資産の調査(預貯金、保険、不動産など)
・家族や親族からの金銭的な援助可否の調査
・公的な制度を利用していないかの調査
・就労の可能性の調査
(3)審査結果の通知
調査結果をもとに審査が行われ、生活保護受給の可否が決まります。受給資格があると認められた場合は、保護費としての支給が始まります。
父親が年金だけで暮らせない場合、受給要件を満たせば、生活保護を頼ることも可能
親が年金だけで暮らせず、子どもである自分自身も金銭的な援助が難しい場合は、生活保護の利用も検討してください。生活保護の必要性を感じたら、まずは居住エリアの福祉事業所の担当者に相談してみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー