「介護保険料」が毎月3000円程度、天引きされています。実際に介護を受けるとき「自己負担なし」で利用できますか?

配信日: 2025.06.15

この記事は約 5 分で読めます。
「介護保険料」が毎月3000円程度、天引きされています。実際に介護を受けるとき「自己負担なし」で利用できますか?
40歳を過ぎると介護保険料の支払いがスタートし、加入している健康保険料に上乗せする形で介護保険料を支払わなければなりません。給与所得者なら給与から天引きされます。
 
月収が20万円の会社員の場合、介護保険料は約3000円です。毎月介護保険料を支払っているのだから、65歳以上になって実際に介護を受ける際には自己負担なしで利用できると思っている方も多いのではないでしょうか。
 
また、65歳以上でなくても40歳から64歳までの間に特定疾病によって介護が必要になった場合は介護保険を利用できます。
 
本記事では、介護保険を利用した場合の自己負担の割合や、利用者負担の割合の決まり方について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。

介護保険を利用した場合の自己負担額は1〜3割。自己負担なしでのサービスの利用はできない

介護保険を利用して介護サービスを受ける場合の自己負担額は、1〜3割です。居宅介護支援サービスを除き、自己負担なしでの利用はできません。
 
介護保険制度は、介護負担を軽減する目的で2000年に施行された保険制度です。40歳になると介護保険制度に加入し、健康保険料に上乗せされる形で保険料の支払いがスタートします。
 
介護保険では、要介護または要支援者と認定された方が介護サービスを使用した場合、介護報酬の7~9割が保障されます。ただし、保険の対象者となるには、「要介護状態」「要支援状態」のいずれかに当てはまるかの認定調査を受けなければなりません。
 
介護保険を利用できる介護サービスは、大きく分けて居宅介護サービスと施設サービスの2種類に分かれています。介護サービスは1~3割の自己負担が発生しますが、居宅介護の間接的な支援である以下のような居宅介護支援サービスは自己負担なしで利用することが可能です。
 

・ケアプランの作成
・モニタリングとプランの見直し
・自治体や事業者との連携や調整

 
ただし、同様にサービスが自宅で提供される訪問介護サービスは1~3割の自己負担が必要となる点に注意しましょう。
 

利用者負担の割合の決まり方

介護保険料負担割合は、合計所得金額と65歳以上の世帯人数に応じて設定されます。介護保険料の負担割合は、平成30年8月に見直されています(図表1)。
 
【図表1】

本人の合計所得金額 年金収入+その他の合計所得金額の合計額 利用者負担割合
220万円以上 ・単身世帯:340万円以上
・2人以上世帯:463万円以上
3割
・単身世帯:280万円以上340万円未満
・2人以上世帯:346万円以上463万円未満
2割
・単身世帯:280万円未満
・2人以上世帯:346万円未満
1割
160万円以上220万円未満 ・単身世帯:280万円以上
・2人以上世帯:346万円以上
2割
・単身世帯:280万円未満
・2人以上世帯:346万円未満
1割
160万円未満 1割

※厚生労働省「利用者負担割合の見直しに係る周知用リーフレット」(珠洲市ホームページ掲載)より筆者作成
 
介護保険の自己負担割合は基本的に1割負担ですが、収入に応じて負担割合が上がります。平成30年の見直し後は、現役並みの収入がある方の自己負担は3割です。
 

介護保険料の支給限度額

介護保険料には支給限度額が定められており、限度額を超えた金額は全額自己負担となる点に注意が必要です。居宅サービスの1ヶ月あたりの利用限度額は、要介護度別に定められています(図表2)。
 
【図表2】

要支援1 5万320円
要支援2 10万5310円
要介護1 16万7650円
要介護2 19万7050円
要介護3 27万480円
要介護4 30万9380円
要介護5 36万2170円

※厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索 サービスにかかる利用料」より筆者作成
 
居宅サービスには、訪問介護や訪問入浴介護、訪問看護などが含まれます。
 

利用者負担の軽減制度

介護保険では、利用者の負担を軽減するために、以下のような軽減制度が設けられています。
 

・高額介護サービス費
・高額医療・高額介護合算制度

 
高額介護サービス費では、月々の利用者負担額の合計額が、所得に応じた区分の上限額を超えた場合、超過分が介護保険から支給されます。また、高額医療・高額介護合算制度では、世帯内で医療保険と介護保険の両方に自己負担が生じた場合に、合算後の負担額が軽減されます。
 

介護保険料は健康保険料に上乗せする形で負担

40歳を過ぎると介護保険に加入となり、介護保険料は健康保険料に上乗せする形で負担します。
 
介護保険では、被保険者が65歳以上の第1号被保険者と、40歳から64歳までの医療保険加入者である第2号被保険者に分けられます。
 
第2号被保険者のうち、勤務先の健康保険に加入している方の介護保険料は、標準報酬月額に介護保険料率をかけて計算されます。協会けんぽの場合、令和7年3月からの介護保険料率は1.59%です。標準報酬月額が20万円の場合、介護保険料は月額3180円ですが、会社と本人が折半するため本人負担分の1590円が給与から天引きされます。
 
なお、65歳以上の第1号被保険者の場合、平均保険料基準額に所得に応じた割合をかけて介護保険料が計算されます。
 

自己負担なしで介護サービスは利用できない。負担割合は所得等によって決まる

介護保険では、要介護・要支援者として認定された方が介護サービスを受ける際に保険料が支払われますが、所得によって1〜3割の自己負担が必要です。間接的な支援である居宅介護支援サービスを除き、自己負担なしで介護サービスの利用はできません。
 
実際に介護サービスを利用する場合は、自身の自己負担割合が何割になっているかを確認しておくようにしましょう。
 

出典

厚生労働省 介護保険制度の概要
厚生労働省 介護保険制度について
珠洲市 介護保険制度の改正について 厚生労働省 利用者負担割合の見直しに係る周知用リーフレット
厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 サービスにかかる利用料
全国健康保険協会 協会けんぽ 令和7年度保険料額表(令和7年3月分から)
全国健康保険協会 協会けんぽ 協会けんぽの介護保険料率について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集