定年退職後に「会社の健康保険を継続」か「国民健康保険」で悩んでいます…できれば会社の健康保険を継続したいのですが、「保険料が2倍」って本当ですか?
配信日: 2025.06.13

中でもよく耳にするのが「任意継続」という制度です。しかし、この制度を選ぶと「保険料が2倍になる」こともあるようです。
今回は、その理由と注意点について解説します。

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目次
任意継続は「会社を辞めても同じ健康保険に入れる」制度
通常、会社を退職すると、在職中に加入していた健康保険の資格を失います。その代わりとして、「国民健康保険」に加入するか、「任意継続」を選ぶか、あるいは家族の扶養に入るなどの選択肢があります。
「任意継続」とは、退職後も最長2年間、これまで所属していた健康保険組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)にそのまま加入し続けられる制度です。また、「資格喪失の日の前日まで継続して2ヶ月以上被保険者であったこと」が加入要件として挙げられます。継続の手続きは、退職日の翌日から20日以内に行う必要があります。
この制度は「慣れている保険を継続できる」という安心感がある一方で、保険料に関して注意点があります。
在職中と同じ保険なのに、なぜ「2倍」になるのか?
任意継続を選ぶと、健康保険料は在職中の「2倍」になるケースが多いようです。これは、在職中は会社と従業員が保険料を折半して支払っていたのに対し、退職後は全額を自分で支払う必要があるためです。例えば、在職中に毎月2万円を支払っていた場合、退職後は4万円近い支払いになることもあるでしょう。
ただし、実際の保険料は、標準報酬月額や保険料率によって異なるため、2倍になるかどうかは個人の状況次第です。それでもかなりの負担増になるのは避けられないかもしれません。
任意継続を選ぶ前に、国民健康保険と保険料を比較しておく
注意したいのは、一般的には保険料が2倍になりますが、基本的には傷病手当金が支給されないという点です。つまり、保険料だけが高くなり、受けられる給付や補助が制限される可能性が高いということです。これは納得しづらいと感じる方も少なくないかもしれません。
そのため、任意継続を選ぶ前に、国民健康保険と保険料を比較しておくことが重要です。扶養家族の有無や収入状況によっては、国民健康保険のほうが安くなる可能性もあるでしょう。
手続き期限と納付期限に要注意
任意継続を希望する場合は、退職翌日から20日以内に手続きを行わなければなりません。期限を過ぎると任意継続が利用できなくなります。
また、納付期限を過ぎると即座に資格を失う点にも注意が必要です。たった1日の遅れでも継続資格がなくなるため、「うっかり払い忘れた」がトラブルにつながりかねません。
特に定年後は手続きのすべてを自分で行うことになるため、スケジュール管理と支払い忘れ防止策が重要といえるでしょう。
退職前に保険料のシミュレーションを
任意継続は、「今の保険をそのまま使える」という点では便利な制度ですが、保険料が倍増することで家計への負担は大きくなる可能性もあります。しかも、支払う額が増えても内容は変わらないケースも多いようです。
退職を控えている方は、まず自分が加入している健康保険組合や協会けんぽの任意継続保険料を事前に確認しておくと安心です。そのうえで、国民健康保険や扶養など他の選択肢とも比較し、最も負担が少ない方法を検討しましょう。
特に定年後は年金生活に入る方も多いため、「保険料の2倍負担」がそのまま生活を圧迫しかねません。思わぬ出費に備えるためにも、退職前からの情報収集と計画的な準備が大切だといえるでしょう。
出典
厚生労働省保険局 任意継続被保険者制度について
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー